第4話 友達の始め方
結果として悪くないどころか、友達から始めるというポジティブな結果を得られた翌日、早朝に着いた教室で俺は頭を悩ませていた。
友達って具体的にどうすればいいんだ?お世辞にも俺は女性の友人は多くない。いや、ほぼいないといっても差し支えない。よく話すのはせいぜい部活のマネージャーぐらいだ。しかも彼氏持ち。
「よっ! あれ思ったよりテンション低いな。なんだ~その辛気臭い顔は?」
いつの間にか登校してきた茶髪で無駄に顔のいい奴が気づいたら前にいた。でもまあちょうどいい、こいつは恋愛初心者の俺よりはるか先を走る男だ。そう思い、辰也に相談することにした。とりあえず、事情を説明した。
「昼飯でも誘ってみればいいんじゃね?」
「そんなハードル高いこと言うなよ……」
「しょうがないだろ、今は燎は部活ないけど、普段だったら放課後は無理だし、グループも違うから絡みもねえし。なんかが起きるの待ってないで、昼飯誘うとかしかないだろ」
「とんでもないド正論やめてね」
こいつ、チャラ男のくせに、いつもはおちゃらけて軽口たたいてるくせに、ここぞとばかりに痛いとこついてきやがる。
「お前は彼女とどうやって仲良くなったんだよ?」
「お、聞くか、聞いちゃいますか、あれはまだ俺らが小学生だった頃……」
「うわ、まずった。これ長くなるやつだ」
まあ、辰也の言うことは正しい。待っていても何も始まらない。ならこっちからいくしかない。辰也の話を切り上げて、意を決して夏原たちが座る席に歩いて行く。
夏原は今天城と二人で会話している。今なら比較的話しかけやすい。よし、と気合を入れて声をかける。
「夏原、ちょっといいか」
「お、おう……。日向どうかしたか?」
「よければなんだが、今日昼飯一緒に食わないか?」
「ひるめし……」
夏原は戸惑っていた。そりゃそうだ。今まで一緒に食べてた人もいるだろうし、なにより昨日告白したやつと一対一での食事なんて気まづいっちゃありゃしない。あれ?これミスってないか?勢い任せにやらかしちまってんじゃ…?そう思っていると、思わぬところから助け船が来た。
「あら、そのお昼ご飯私もご一緒してもいいかしら?」
声ですら気品を感じさせる彼女。そう、天城である。学年一の美少女さんはニコニコしながらこちらを見ていた。
「日向君ね。すーちゃんから事情は聞いているわ。ぜひお話ししたかったの」
「いいのか? 誘ったのは何だが、迷惑だったら断ってくれても……」
「遠慮しなくてもいいのよ、たまには違う方とお食事してもみんな気にしないわ。すーちゃんもいいよね?」
「ま、まあ、二人っきりは緊張するから、琴花がいれば全然……」
「はい! じゃあそういうことで! 竜胆君も誘ったほうがいいんじゃないかしら。男子一人、女子二人だと変な感じでしょ? 周りの目も微妙だし」
「確かにそうだな」
なんて気の利いた提案だ。天城、いつもふわふわしてて、ドジっ子そうだなとか思ってごめん。すごい、なんか天城が輝いて見える。まるで聖母だ。マザー・アマギ様だ。そんなくだらないことを考えてたら、ホームルームのチャイムが鳴った。
「じゃあ、また」
「うん、またあとでね」
「ま、またな」
予想外の助けがあったが、とりあえずなんとかなった。昼休みまでまだ時間はある。まずは昨日の告白の影響で、よくわからなくなってしまった夏原との距離感をなんとかできるように頑張ろう。
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