第3話 アルヴィスの過去

ふと、アルヴィスに昔の記憶が頭に映った。


1本の木の下にて。

子供の笑い声の中に微かに泣き声が聞こえた。

大柄な自分に年下たちが暴力を振るう。必死に対話試みたが聞いてくれなかった。

真っ白なTシャツに汚れが付き、視界はぼやけた。

だが、確かに手には鮮やかな赤が見えていた。


すると、小柄な自分よりはるか年下の少年が木からスタッと降りてきた。


自分に背を向け庇っていた。


???「お前!こんなことして恥ずかしくないのか!?!?」


震える手先をギュッと握って取り繕っているように見えた。


アルヴィス 心の中(無茶だ.......あんな小さい子が.......!)


勲章が太陽の光を受けてきらりと輝いた


男子「こいつ!夢媒師だ!!逃げろ!!」


少年は男子たちが消えるまで、見つめていた。


アルヴィス「強くなったら、あいつらにいじめられない??」

光に飢えた黒い瞳だった。


???「まぁ、でも、確かに力が強かったら舐められないと思うよ!」

少年は魔導書を強く抱き締めてそういった。

アルヴィスの瞳に希望の灯火が灯る。


アルヴィスの視界がゆっくりと明るくなり、現実の音が戻ってきた。彼の瞳に、夢主とルシエルの姿が映った


そうだ。俺はあの時から、あの夢媒師が言った“強さ”を追い求めていた。

自分でも気づかぬうちに、勝手に信じ込んでいたんだ。

だが、裏切られた


アルヴィスは唇を血が滲むほど、強く噛んだ。


夢を叶えてから気づいたんだ。

彼らの魔法は力じゃない、対話だ。

でもそんなものは…強さじゃない。

──対話など無力だ。

俺はいじめられた。

俺は騙された。

だから、被害者だ。

鼻にあの時の土の匂いを思い出した。

身体が自然に強ばる。

ルシエル.....お前はどうせ、夢主を救えない。

アルヴィスはルシエルの背中を睨んだ。

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