第18章:再会

 新しいCランクの紋章がその表面にきらめいていた。ケリナは彼女に最後のうなずきを送ると、振り返って私をギルドホールから外へ、暖かな午後の空気の中へと導き出した。

「さて」と彼女は言い、珍しく小さな笑みを浮かべた。「公式な初日でCランク冒険者になったおめでとう。」

 彼女は私を一瞥し、表情がより気軽なものに変わった。「こんなに波乱万丈なスタートを切ったんだから、明日の夜、パーティーに行く気はあるか?」

 私は眉を上げた。「パーティー? 何の行事だ?」

「今年最大の祝日、解放記念日さ。最後の魔王が倒され、大戦が終結した日の記念日だ。」彼女が歩き出し、私は彼女の隣を歩調を合わせた。「祭りは明日の夜23時に始まるが、本当のお祝いは真夜中のちょうど0時、魔王が倒されたと言われるその瞬間からの大宴会だ。」

 私は情報を処理した。大規模な、街全体の祭り。偵察には絶好の機会だが、同時に巨大なリスクでもある。

「人がたくさんいるのか?」と私は尋ねた。

 ケリナは軽く笑った。「たくさん? ハヤト、首都全体の人間が通りで祝うだろう。王国の正式な『英雄』たちがいるかどうかはわからないが、街中の冒険者と貴族はみんな集まる。」

 私たちは数歩、沈黙の中を歩いてから、私は立ち止まり、彼女の方を向いた。私の表情は真剣だった。「ケリナ。昨夜、お前に話したことについて…真実を。俺の出自と、俺の力の本当の性質についてだ。」

 彼女は私の視線を捉え、彼女自身の表情も真剣に変わった。

「誰にも言わないでほしい。世間にはな。お前を信じている。」

 ケリナは長い間、静かに私を見つめ、鋭い目で私の顔を探った。そして、真剣な表情が崩れ、小さく、心からの微笑みとなった。

「もちろん」と彼女は言い、声は柔らかだが確固としていた。「君の秘密は私が守る。」

 ***

 宿屋の部屋の静かな孤独の中に戻り、私はベッドの端に腰かけた。新しいギルドカードとエリクからもらった短剣が小さなナイトスタンドの上に置かれ、今日の出来事の確かな証となっていた。街のざわめきが窓の外で低く響いていた。

 十分だったのか? 今日、俺がやったこと…それは本当に成功だったのか?

 奇妙な虚無感が胸にこだました。前世では、俺は本物のパンチを一発も放ったことがなかった。本当の脅威に直面したこともなかった。俺の戦いは、無菌状態の空調の効いた部屋で、スプレッドシートとパワーポイントを使って戦われていた。そして今日…今日も何ら変わらなかった。

 ケリナは戦士を見た。レインは戦士を見た。村人たちは英雄を見た。だが、彼らは皆、間違っていた。俺は路地にはいなかった。キャンプにもいなかった。危険にさらされたこともなかった。

 俺がしたのは指揮を執ることだけだ。想像力で戦いを戦い、機械の中の亡霊が操り人形を動かした。クローンにどこに立ち、どこで避け、どこを刺すかを指示した。それは単なるもう一つのプロジェクトだった。完璧な実行と、血生臭い、手に取れる結果を伴ったプレゼンテーションに過ぎない。

 私は自分の手を見た。それらは戦士の手ではなかった。安全で静かな距離から盤上の駒を動かす男の手だった。勝利は他の誰にとっても現実に感じられたが、俺にとっては、それはまた別の幻影に過ぎなかった。

 私は立ち上がり、新しい生活の証をナイトスタンドに残したまま窓へと歩いた。太陽がエルドリアに沈み、見知らぬ屋根をオレンジと紫の陰影で染めていた。下を見れば、見知らぬ服を着た見知らぬ人々が家路を急いでいた。それは動き続ける世界であり、俺は説明書もなしに放り込まれたのだ。

 見知らぬ街を見つめながら、私の思考は置いてきた世界、死へと漂った。

 俺の体はどうなった?

 その思考は冷たく、臨床的なものだった。俺は自分が住んでいた狭い東京のアパート、電子レンジほどの大きさの部屋を思い浮かべた。家主は家賃が遅れた時に俺を見つけたのか? もしかしたら掃除サービスが、その匂いを不審に思ったか。孤独死した、また一人の過労コンサルタントに過ぎない。

 会社の誰かが俺を探しただろうか? 数日後に不在に気づき、プロジェクトが遅れたことに腹を立てるかもしれない。だが、本当に気にかける奴はいただろうか? 電話をかける家族もいない。俺の行方を気にかける本当の友人もいない。俺は名刺に載った名前、会議で黙ってうなずく無口な男に過ぎなかった。

 誰も探しには来ないだろう。あの世界での俺の存在は、ここで作り出した分身たちと同じくらい虚ろだった。ただ別の機械の中の亡霊であり、努めずとも溶け込んでいたのだ。

 ***

 俺の名前は田中ケンタ。葬儀場の後ろに立ち、安物の黒いネクタイが首絞めのように感じる。皆、泣いているが、俺と同じように感じている奴がいるだろうか。

 あいつは俺の命を、俺のキャリアを、母さんへの約束を救ってくれた。そして、俺の感謝の最後の行為は何だった? 俺が遺体を発見した者だったんだ。

 数日前に始まった。木曜、そして金曜。三上ハヤトが仕事に来なかった。メールもない。電話もない。彼らしくない。本当に心配したのは俺だけだった。課長はただ面倒くさがっていた。金曜の仕事が終わった後、心配が募り、俺は彼のアパートに行った。

 家主が中に入れてくれた。部屋は狭くて整頓されていた。ハヤトは低いテーブルに座り、食事中にうたた寝したかのように頭を前に垂らしていた。食べかけのカップ麺がテーブルの上、画面を伏せて置かれた彼の携帯電話の横にあった。

 まず驚いたのは匂いだった。なかった。二日も経っていれば当然あるべき空気が、淀んでいなかった。俺は彼の名前を呼んだ、「三上さん?」動かないので、肩に触れた。冷たかった。信じられないくらいに。

 救急隊員は、彼が亡くなってからほぼ四十八時間経っていると言った。突然の動脈瘤破裂だと言うが、説明できなかった。なぜ彼がただ…保存されていたように見えるのか、説明できなかった。まるで体が死んだのではなく、単に電源を切られたかのように。今でも頭の中で繰り返している。水曜の会議であいつを見た。元気だった。そして俺は、最後の食事が冷えたままのテーブルに座り、今にも目を覚ましそうな姿の彼を見つけた。全く意味がわからない。

 私の名前は田中サキ。深夜の仕事の休憩中にSNSのフィードをスクロールしていたら、彼の顔が目に入った。会社のプロフィールに使われるような、形式的で無機質な肖像写真で、高校時代の共通の知り合いの投稿に添付されていた。キャプションは簡素なものだった:

「三上ハヤトさんの悲報。早すぎる旅立ちです。」

 私は一瞬、息を止めた。三上? 違う、間違いに違いない。

 だが、違わなかった。ネット上の死亡記事がそれを確認した。突然の動脈瘤破裂。享年28。高く評価されたコンサルタント。同僚たちのコメントは皆、同じことを言っていた:

「すごく静かな人だった」

「真のプロフェッショナル」

「いつも落ち着いていた」

 私は写真をじっと見たが、写真の中の男は私の知る人物ではなかった。私が覚えているハヤトは、ただの無口なスーツじゃなかった。高校二年生の時、学校の屋上に私と一緒に座り、複雑なボードゲームの戦略を熱心に議論し、ついに私のキングを追い詰めた時に見せた、珍しく輝くような笑顔を覚えている。彼は大声を出すタイプじゃなかったが、鋭く、情熱的で、静かな外見の下で、猛烈に生きていた。

 卒業後、人はそうするように、私たちは自然と疎遠になった。大学、そして仕事。最後の連絡は三年前の、短く気まずい「あけましておめでとう」のメッセージだった。いつか連絡を取ろう、もう一度ゲームをする時間があるかどうか尋ねようと思っていた。

 彼の同僚たちのコメントをまた見た。「すごく静か」「落ち着いていた」。深い悲しみの波が私を襲い、後悔の念が鋭く、肉体的な痛みのように感じられた。彼が亡くなったことだけじゃなかった。あの日差しの降り注ぐ学校の屋上と、この冷たく形式的な写真の間に、私の知るハヤトは、彼が亡くなるずっと前に、既に消えていたんだ。

 私はデスクから離れ、小さなワンルームアパートの大きな窓へ歩き、夕暮れが迫り始めた街の明かりを見た。ビルの遥か上空に、たった一つ、小さな雲が漂っていた。その形が、ありえないほど、完璧に、ハートのようだった。

 その光景は私の胸に鋭い痛みを走らせた。それは彼の得意技だった。ハヤトはいつも雲の中に形を見つけていた人だった。

 高校時代の、鮮やかで温かい記憶が浮かんだ。私たちは学校の屋上にいて、午後の日差しが顔に暖かかった。私は愚痴をこぼし、片思いしている女の子に悩み、ただの簡単なメッセージすら送れずに苦しんでいた。

「ほら」とハヤトが突然、静かな声で言った。彼が空を指さした。「一つある。」

 私がその指先を追うと、今、私の窓の外にあるものと同じ、完璧なハート形の雲を見た。

「写真を撮れよ」と彼は言った、珍しく小さな笑みを浮かべて。「彼女に送れ。会話を始めるいいきっかけだ。ただ、それを見かけて彼女のことを思い出した、って言えばいい。」

 彼はいつもそうしていた。言い訳を見つけ、戦略を立て、静かに、私に欠けている勇気を築くのを助けてくれた。彼はとても助けてくれたのに、私は自分の十代のドラマに夢中で、それをちゃんと感謝したことは一度もなかったと思う。私はその日、写真を撮った。そしてそれはうまくいった。

 最後の祈りが唱えられ、人々が解散し始めた。午後遅くの太陽が、墓地に長く物悲しい影を落とし、三上ハヤトの同僚たちは車の方へ戻って行った。彼らは小さく、静かなグループで去り、悲しげな表情をしていた。彼をほとんど知らなかった者たちでさえ、その喪失を感じていた。彼の静かな親切についてのささやきが彼らについて回った―頼まれもしないのに直した複雑なスプレッドシート、数分で復活させたクラッシュしたコンピューター。彼は無口だったが、いつも彼らを助けていた。

 一人の人物が、他の皆が去った後も長く残っていた。人事部の若い女性、ミズキが、一本の白いユリを握りしめ、新しい墓の前に立っていた。他の人々は悲しんでいたが、ミズキは深く個人的な痛みを感じていた。

 彼女は迫り来る締切にパニックになり、コンピューターがフリーズした時のことを思い出した。通りかかった三上さんが、黙って彼女のキーボードを取り、数つの難解なコマンドで問題を解決し、去って行った。一時間もVLOOKUP関数に苦労した後、彼の指が彼女の肩越しに現れ、構文の中のたった一つの単純なエラーを指さした時のことを。

 それ以上に、彼女は一ヶ月前、必死に家賃が足りず、電話でこっそり話そうとしていた時のことを覚えていた。翌日、机の上に印字のない封筒が置かれ、その差額をちょうど賄えるだけの現金が入っていた。メモはなかったが、彼女はわかっていた。彼だとずっと知っていた。

 新しく掘り返された土を見つめながら、涙が彼女の目に溢れた。「なぜ? どうして死んだんですか、三上さん? 私はあなたの人事ファイルを扱っていました。重い病気もなければ、持病もありませんでした。病気欠勤すら一度もなかった。全く意味がわかりません。」

 ミズキは自分の悲しみにあまりにも浸っていたため、自分の隣に立った大きな人物に気づかなかった。その影が墓にかかるまで。彼女は顔を上げず、ただ誰かが来たことを知った。

 そして、その沈黙が打ち破られた。ドン。ドン。ドン。

 その男は、墓の脇の地面に靴のかかとを何度も何度も踏みつけ、その屈強な体が激しい、抑えられた怒りに震えていた。ミズキは飛び上がり、悲しみから引き戻されて驚いた。「おい! やめて!」彼女は叫び、彼の大きく刺青の入った腕をつかんだ。「何やってるの?!」

 彼は止まり、彼女を見るために顔を向けた。彼の顔は威嚇的で、古い傷跡の地図のようだったが、目は潤み、涙をためていた。その表情は純粋で、絶望的な苦痛に満ちていた。

「腰抜けめ」と彼はうなるように言い、声は詰まって割れていた。彼女に言っているのではなかった。墓に向かって言っていた。「死ぬなんて、許せねえ。お前…お前は俺に道を見つけさせてくれた。どうすれば男になれるか、教えてくれていたんだ。」

 彼は彼女から腕を引こうとしたが、体は震えていた。彼は新しく掘り返された土に向かって怒鳴りつけた。ミズキは彼を支えようと、しっかりと掴んだ。

「覚えていねえのか、三上殿?!」彼は叫んだ、声はついに嗚咽に割れた。「俺が抜けるのを助けてくれた! ヤクザからな! 俺があの生活を捨てた唯一の理由、償いをしようとしている唯一の理由は、お前様のためだぞ!」

 彼は彼女にもたれかかり、怒りは消え、絶望の波に取って代わられた。「それなのに、お前は死んだ」と彼は詰まらせたように言った。「俺…俺はもう誰にも聞く相手がいねえ。これからどうやって、この世で良い男になれっていうんだ?」

 ミズキはしばらく彼を支え、彼の大きな体を揺らす嗚咽の中で、静かな支えとなった。しかし、彼は離れ、悲しみが再びくすぶる苦い怒りに固まった。今回は踏みつけなかった。彼は墓の前を行きつ戻りつし、刺青の入った手を硬く、指の関節が白くなるほど握りしめていた。

「あいつはただ去る」と男は唸るように言い、声は低く、かすれた唸りで墓石に向けられた。「俺に約束させる。別の道がある、もっといい道があるって教えてくれる。それからただ…チェックアウトする。消える。一言の言葉もなく。」

 彼は行きつ戻りつを止め、全身を震わせながら新しく掘り返された土を睨みつけた。「それでどうしろっていうんだ? なあ? あいつはまるで、あの忌々しい事業計画みたいに、全部簡単に聞こえるように言った。だが、俺に聞ける奴はあいつだけだった。俺を見た時にヤクザの化物を見なかった唯一の奴だったんだ。」

 彼の肩が落ち、怒りはついに燃え尽き、虚無だけが残った。「あいつだけだった」と彼は囁き、声はついに割れた。彼は墓の前にひざまずき、頭を垂れ、ついに戦う力を失った。

 ***

 今夜の街の音は違っていた。大きく。もっと陽気だった。ケリナが祭りと呼んだが、彼女は誇張していなかった。

 広場の端から、私は祝祭を見つめた。巨大なかがり火が広場の中央で轟音を上げ、そのきらめく光が何百人もの人々の顔を照らしていた。彼らは歌い、飲み、笑い、その声は混沌としながらも幸せな合唱となって夜空へと昇っていた。空気は焼き肉とこぼれたエールの匂いで濃くなっていた。

 私は路地の陰に立ち、観察者だった。かつて東京の混雑した広場にいた時と同じように。騒音は壁であり、共有された喜びは私の理解できない言語だった。それは動き続ける、ただの見知らぬ人々の海に過ぎなかった。

 私の目は光景を走査し、私の心は自動的に群集の動態、警備の巡回、可能性のある脱出路を分析した。しかし一瞬、戦略家としての私は沈黙した。私はかがり火の光が届く端にあるベンチに、空いている場所を見つけた。混乱の真ん中ではないが、完全な闇の中でもない。

 そこに行けるだろうか、と思った。座る。ほんの一瞬だけ。努めずとも溶け込む。



 つづく




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