カードの真実

 みんなが無事で良かった!音ちゃんも無事に帰ってきてくれて良かった!」

純正が言う。

「全部玲央のおかげだ。本当にありがとう。作戦も戦闘も玲央がいてくれて良かったと思うと同時に、一つ不思議に思うことがあるんだ。神崎玲央、君はいったい何者なんだ?ただものじゃないだろう?」

「いや、少し頭がいいだけの普通の高校二年生ですよ」

「そうか。変なことを聞いて悪かったね。私が高校二年生の時、君と同じように動けたかと言われれば無理だったろうとだけ言っておくよ。『コレクター』が持っていたカードは全て回収した。これでもうこのカードとはおさらばかな。普通の生活に戻ることになるだろうね」

「そうですね。ところでその回収したカードはどうするんですか?」

「普通に処分しようと思ってるけど、どうして?」

「いや、そのカード、僕に処分させてもらえませんか?少し気になることがありまして……」

「玲央のことは今回のことで信頼しているからいいけど、悪用したりしたらダメだよ」

「ちゃんと処分しますよ。ありがとうございます」

純正が哲也、奈々美、音羽、俺を集める。

「みんな今日はありがとう。『コレクター』が解体した今この瞬間、我々はカードと付き合う必要が無くなった。これからはそれぞれがそれぞれの道で頑張っていこう。みんなバイバイ」

本当に短い時間だった。特に僕は最後にチームに加わったと言うこともあり、チームで行動したのはほんの数日間だけだった。しかし、それ以上にチーム内でかけがえのない絆というものがなんなのか本質的な意味でわかった気がする。


「奈々さんの妹も無事に保護できて良かったわ」

「そうですね」

誰と誰が話しているのだろう。

「でも、わざわざあなた様がこの神崎玲央という人物になり変わってまで、カードを回収する必要があったんですか?」

「最近の『コレクター』の行動には目に余るものがあったからね。これはこのカードを作ったゲームマスターである私の失態。本物の神崎玲央には悪いけどまあ吉川哲也との戦闘だけでもカードの能力を体験できたんだから、それでチャラかしら?もちろん私がなり変わっていた時の記憶は消しておいたから大丈夫でしょ」

「さすが、マスターですね。でも、一人称が俺から僕に変わってましたよ」

「あら、やだ。それ本当?まあ誰にも気づかれてないことを祈っとくわ」


「あれ、なんだかここ数日間の記憶がごっそり抜けてるようなそんな気がする。勉強のしすぎでおかしくなったか?」

そんな非現実的なことあるわけないよな。

「今日は前から告知していたように数学の小テストを行います。机の上のものをしまいなさい」

小テスト!?聞いてないぞ?まあいい。俺はただ満点を取るだけだ。

                    

                               ー完ー



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シークレットカード めろにか @kanaekanae

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