第3話 宝石
青く光る、綺麗にカットされた宝石を近所の子供たちに見せびらかしながら、僕は意気揚々と畦道を歩いていた。
その途中で、ヴァレリーによく似た犬を見かけたんだ。想像してよ。僕はね、こんな奇跡は二度とないと思って、その犬を家にお持ち帰りしたよ。
『優しいだけの言葉よ。ねえ、飼い主さん』
「うん」と僕は云った。
僕は彼女をヴァレリーと名づけた。美しい心は受け継がれていく。僕は信じていたんだ。
ヴァレリーの毛並みは、半透明な海月と梅雨の蛞蝓を練り合わせたみたいにいつもヌメヌメしていて、僕は二度と触りたくないと思った。
「心が、どれほど優れているとか、美しかろうとね、やっぱり僕はね、見た目が可愛くないと駄目だと思うんだよ」と僕は云った。そんなに云いたいわけじゃなかったんだ。
ある種の仕方なさというか、ある種の夢の一つのタイプだと思うんだよ、僕は。
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