正直
あの日から、僕はヒロムがもっとゆきなと仲良くなりことができるように二人がお互いを好きになるように行動するようになった。
毎日の帰り道は、正直苦しかったし、胸が締め付けられるような思いでいっぱいだった。
でも僕は、ゆきなじゃなくてヒロムを取った。
いつも辛いときに励ましてくれる、いつも元気で俺みたいなやつとも仲良くしてくれる僕の親友。幸せになっていいのは僕じゃない。ヒロムなんだ・・・
そんなことをずっと言い聞かせて、僕は必死に口角を上に上げて話していた。
いつも通り、ゆきなと道を別れた後に、ヒロムが重たそうな口を開けて、言った。
「たける 俺、告白しようと思うんだ。」
ずっと、無理やり上げていた僕の口角はもう楽に上がるようになっていた。
気持ちとは違う表情を浮かべることにも何も違和感がわかなくなっていた。
「遅いよー笑 いつになったら告白するんだろうてずっと思ってた!」
思ってもいない言葉がすらすらと自分の口から、流れていく。自分でも恐怖を覚えるほどに僕は自分が何を考えているのかわからなくなっていた。
「明日の帰り道やりな!俺は先帰ってるから!」
「い、いや、、、でも。たけるは・・・」
「いいから!いいから!頑張れよ!」
そう言って家の中に飛び込んだ。
僕は作り笑いをしながら、玄関にしゃがみ込んだ。顔は笑っているのに僕の涙は止まらなくなっていた。
次の日、僕は終わりチャイムがなったと同時に教室を飛び出して家まで一直線に帰った。二階にある自分の部屋のドアの鍵を締めて、枕で両耳を塞いだ。何もしたくなかったし、何も聞きたくなかった。僕は無音の暗い部屋で随分長い時間、ただ一人でうずくまっていた。
何時間経ったんだろうか・・・
もうあたりは真っ暗になっていた。ヒロムからの連絡は何も来ていない。
どうなったのか、付き合ってしまったのか。何もわからない僕は、いても立ってもいられなくなった。
急いで部屋から出て、まともに靴も履かずに何度も転けそうになりながらヒロムの家に向かった。
ピンポーン!ピンポーン!!何回もインターホンを押して、ヒロムを急かした。
ガチャ・・・ドアが開き、ひょこっとヒロムが出てきた。
「たける何回鳴らすんだよ!笑 迷惑だろ?笑」
「ごめんでも気になって、、、結果はどうだったんだよ!連絡くらいしてくれよ!!」
「あーごめんわすれてた笑」
あまり落ち込んでないような様子のヒロムを見て、僕の呼吸はどんどん荒くなっていく。
「もういいから!で結果は!?」
ニヤッと笑ってヒロムは元気にこう言った。
「振られちゃったぜ!笑 ごめんな!色々してくれたのにな!」
その言葉を聞いた瞬間、僕は上がりそうになった口角を両手で抑えた。
「なんだよその顔!笑 たける変顔して笑わせなくて大丈夫だぞ!!」
違う・・・違うんだヒロム俺は親友の不幸を喜んでいるクソ野郎だ・・・
「ごめん・・・ヒロム、」
「何でお前が泣いてんだよ笑 いいからもう遅いから家帰って寝ようぜ!」
ヒロムは僕を家まで送ってくれた。
「じゃあ、また明日な!」
ヒロムが元気だったこと。僕があまりにも最低な人間だったこと。思うことが多すぎて、僕のほうが元気がなくなっていた。
「おいたける!」
落ち込んでいる僕を見て、ヒロムが何か言い出した。
「やっと正直になれそうだな!!」
嘘つき @vefinp
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