僕は嘘をついた

「ん?なんかいったかたける?」

「い、いやなんも!笑」

「そうか?まあ暗くなる前に帰るか!」

(あーもうこうなると思ったけど思った以上じゃん・・・)

「でこいつはすげーおもろくて!!」

「えー!そうなの!でもわかるかも笑」

「でしょー!今度話してみて!」

「わかった!話してみるね!」

僕なんかと話すときよりも、二人の目はキラキラしているように見えた。

気のせいだろうか。そうであってほしい。僕は少し空を見て静かに願った。

「あ、私ここで曲がるから!また明日ね!」

「うん!ばいばい!」

「気をつけて」

「うん!ありがとうね!」

そう言って、すこしずつゆきなさんの影が遠のいていく。

僕とヒロムはふたりとも黙って、その光景を見ていた。




「たけるーかえるよー!ゆきなさんも準備したらかえるよー」

「うん わかったー」

「準備できたよー!かえろう!」

それからの帰り道、僕はヒロムとゆきなと三人で帰るようになった。帰り道は一緒なのに、三人で帰るようになると、なんと言えばいいのか、言葉に表せないようなさみしい気持ちを僕は、ひとり寂しく感じていた。

「なあ聞いてる?たける?」

「あー、うん聞いてるよ。」

「これまじやばいよな!?」

「そうだね笑・・・」

うまく笑いを作るのが精一杯だった。僕は、きちんと笑えているだろうか。

そんなくだらないことばかり気にして僕は毎日を適当にやり過ごしていた。




ある日の帰り、いつもどおり三人で帰っていた。

「ゆきなさんてさー」

ヒロムが話しかけようとしたとき、

「ちょっと待って!」

急に大きな声を出して、ゆきながストップをかけて話しだした。

「ふたりともいつまでさん付けなの!?たけるは何回も名前で読んでって言ってるのに、しかも冷たいし、、、私達は友達だから全員呼び捨て!わかった??」

「おう!」

「がんばるよ、、笑」

ニコッと笑顔をみせ、ゆきなは歩きだしまた楽しそうに話しだした。

(またヒロムとゆきなの距離が縮まるんじゃないのか?)

こんなことを僕は考えて、一人不安になる。

誰にも話せないこの悩み どうしたものか、、、

ゆきなと一緒に曲がり角まで帰り、「ばいばい!」っと言葉を交わして、別々になる。



ヒロムと二人で残りの道を夕日に照らされながら、ゆっくり一歩また一歩と足を出して進んでいく。その時、ヒロムの足が止まった。

「たける」

いつもの元気なヒロムとは少し違うような、真面目な声でヒロムは僕をよんだ。

「俺   ゆきなのことが好きだ。」

体中に電気が流れるような感覚に僕は襲われた。

「な、何いってんだよ」

正直起きてほしくなかった。そうなってほしくなかった。

「わかってる 変なこと言ってるって。だけど俺は本気なんだ」

夕日に照らされて見えるその目に嘘は見えない。

今にも倒れ込んでしまいそうな、泣き出してしまいそうなくらい僕にはそれがショックだった。

「たけるはゆきなのことをどうおもってるんだ?」

僕は少し黙り込んだあと、ニコッと笑顔を作り話しだした。

「好きじゃないよ笑 たけるとゆきなを応援するよ!」

  


僕は嘘をついた。


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