勘弁してよ
「はーい大崎くーん 1時間経ちましたよ〜」
「あっはい、ありがとうございました」
「いいわよー あら、なんかスッキリした顔ね笑」
「もうやめてくだいよ・・・」
「ごめんねー笑 頑張りなさいよ」
「、、、わかってますよ。」
「はい お大事にー」
「ありがとうございました」
ガラガラーー
そう言って、ドアを静かに開けて保健室をあとにした。
「ゆきな、心配してくれてありがとう、もう大丈夫だから。」
「良かったーもう ホント心配したよ!笑 無理しないできつかったらいってよ?」
「わかってる、、、ありがと」
ニコッと笑ってゆきなは前を向き、黒板をノートに映し出した。
一生懸命ノートを取るゆきなの横顔を、少しの間眺めていた。
(ハハ笑 キモいよな 寝よ)
僕は机に顔をくっつけて長い睡眠に入った。
今日一日はどうせ何も話なんて入ってこない。
休めるだけ休んで、また考えることにした。
「起立 気をつけ 礼」
終礼が終わって、横にかけていたカバンを机に上に置く。
「たけるー帰るよー!」
「わかった 今行くよ」
ミーンミーン・・・ 帰り道はセミの鳴き声がよく聞こえた。
「今日体調悪かったんだって?大丈夫か!?」
「うん 誰かに言うの忘れてた みんなに迷惑かけたらしいね」
「いや迷惑なんかかかってねーよ!先生がちょっと大げさだったからな!」
「なら良かった笑」
「んん?前にいるのって前見た子じゃね??」
「あーあの人・・・同じクラスの子だよ、」
「え!?そうなの!?」
僕はなぜか隠そうとしなかった。自分の気持ちに気づいたからだろうか。僕にもよくわからなかった。
「今日ちょっと体調悪かったのを助けてもらったんだ」
「え!まじかよ。お礼言わないとな!たけるもいくぞ!」
「いやお礼は、、、」
「俺が言ってねーだろ!笑 はやく行くぞ!」
「う、うん」
ヒロムはゆきなさんに向かって走り出した。
「あのー!」
「???」
大きな声でヒロムはゆきなを呼び止めた。
「俺、多分同じクラスのヒロムって言います!なんかたけるのこと今日助けてみたいで!ほんとにありがと!!」
「いやいや、私はほぼ何してないっていうか、無理やり休ませちゃって逆に困らせちゃったかも・・」
「ぜんっぜん困ってないよ!むしろ感謝しかない!」
「いやほんとそこまではしてないよ!笑」
「・・・・・・・・・」
僕は二人が笑いながら話しているのを見てなんとも言えない気持ちになった。
僕には、それが眩しすぎたんだと思う。
「あったけるくん!」
「あー紹介するよ ヒロムとは昔からの幼馴染で毎日一緒に学校に通ってる」
「昨日話してた子ね!よろしくね!」
「よろしく!あっ俺も名前聞いていいですか?」
「吉高ゆきな 同じクラスだと思うよ!私、最初らへんあんまり学校行けてなくてみんなのことあんまり知らないんだ笑」
「そうなんだ!だからあんまり見たことなかったんだ!てか家ってこっちなの?」
「そう!こっち方面なんだー!」
「じゃあこれから帰るとき三人で帰れるじゃん!ゆきなさんにクラスメイトのこととか俺とたけるでいっぱい教えるよ!」
「ほんと!?じゃあそうする!」
「たける助けてもらったお礼ね!笑 困ったら何でも言って!!」
「わかった!ありがと!!」
「・・・・・・・」
こうなることはわかってた。わかってたから僕は隠したんだ。
でもまさか、、ここまで二人がお似合いだなんて。
勘弁してよ
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