好きなんだと思う
僕は、次の日の学校でいつもは目を見て話せるはずのゆきなさんの目をうまく見ることができなかった。
「たけるきいてる??」
「き、、聞いてるよ」
「うーんそう??なんかいつもと違うようなー。まーいいけどー」
「何もないって・・」
僕は席から立って、逃げるように教室を出てトイレに駆け込んだ。
ドクッ・・ドクッ・・・
胸に手を当てると聞こえてくる大きな心臓の音。
(ちょっとだぞ、ほんのちょっと話しただけだろ!・・・・熱だ!熱があるに違いない、よく考えれば体も火照ってるし、保健室で休もう!)
僕は廊下にゆきなさんがいないことを確認して忍者のような忍び足で、保健室に飛び込んだ。
「あらーどうしたのーー」
優しい声の保健室のおばちゃん先生が心配そうな声で僕に話しかけてきた
「すいません ちょっと熱があって、、」
「あら何度なの??」
「いや、まだ測ってはいないんですけど、」
「あらあら、そこの体温計を使っていいわよ」
「・・・ありがとうございます。」
熱あってくれ、、、 そう願うように僕は体温計を脇に挟む
「なったら教えてちょうだいね」
「わかりました」
音がなるまで、無言の時間がつづく。僕はいきなり口を開いて先生にあることを聞いた。
「先生、好きってなんですか・・・」
「あら、んーそうねえ」
先生は困った顔をして悩み始めた。いきなり生徒にこんなことを聞かれたんだ
(そりゃ困るよな、悪い事しちゃったな、、、)
「先生 わすれ、、」
「あのねえ」
僕が謝ろうとしたとしたのを押し返すように先生は話し始めた。
「好きがなにかは、私にはわからないけど、好きになったらだめとか好きじゃないとか自分に嘘をつこうとしてる時はもう手遅れなのよ」
その時、時が止まるような、時間の流れがものすごく遅くなるような
そんな感覚に僕は襲われた。
ピーピーピー
ちょうどそのタイミングで体温計がなった。
僕はおそるおそる体温計を取り出して自分の体温を確認した。
36.7・・・まさかの平温だった。
「先生、熱、、、なかったです」
「あらそう、少し休んでいくの?」
「いや、授業に戻ります」
「わかったわ、気をつけなさい」
「ありがとうございました」
保健室のドアを開こうかしたその時、、
ガチャ!!!
誰かが先に勢いよくドアを開いた
「ゆ、ゆきなさん!?」
そこには焦った顔のゆきなさんが立っていた
「熱あるの?たけるくん大丈夫??
「うん、少し体が暑かっただけだから」
ゆきなさんの白く冷たい手が覆いかぶさるように僕のおでこに触れる
「ちょ、なんして、!?」
「少し熱いよ!まだ来たらだめ!先生1時間だけ休ませてやってくれませんか!」
「私は構わないよ」
「だから、僕は大丈夫だって」
「だめ!!誰にも言わずにいなくなるから心配してたよみんな!」
「あー、ごめんいうの忘れてた。」
「とにかくまだ休んで。無理はダメ!」
ゆきなさん押し負けて保健室のベットに運ばれていく
「はい、病人はここで休む!わかったね!!」
「はい、、、」
「あとゆきなさんじゃなくてゆきな!わかった!?」
「はい、、、」
「よろしい!笑」
満足そうに笑顔を浮かべて、ゆきなさんは教室に帰っていった
「ふふっ笑 いい友達がいるのね笑」
「心配しすぎですよ ほんとに大丈夫なのに」
「君、、自分に嘘をついたらだめよ」
「わ、わかってますよ!」
「はいはい笑 ゆっくり休みなさい」
「すいません ありがとうございます」
1時間だけ休んでそれからは教室に戻ることにした
寝ながら色々考えてわかったことがある。
いや、自分に嘘をついていたことがわかった気がする。
僕は、吉高ゆきなのことが
好きなんだと思う
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