思い出していた
あれから、この辺な気持ちをヒロムやゆきなさんの前で出さないと僕は決めた。
「ねーたけるくん!」
寝ている僕の肩をペンでツンツンして、ゆきなさんはよく起こしてくる。
「んー?なに」
目をこすりながら僕は返事をする
「あのねあのね!」
ゆきなさんは、嬉しそうにスマホを取り出して僕に見せてきた。
「これすごくない!?めっちゃきれいだよね!!」
それは、神社の鳥居から見える絶景を撮った動画だった。
高い場所にある神社からは、海とか山とか空とか町とかの全てを見渡すことができていた。本当に綺麗だった。
僕は、言葉にすることができず空いた口も塞ぐことができなかった。
「ふふっ笑」
「な、なんだよ」
「たけるくんかわいい反応するね笑」
「い、いやだって、、」
スマホを目をぱっちり開けながら、見ている僕を想像するととてつもなく恥ずかしい気持ちに襲われた。
「ねえ!ここ一緒に行こ!!」
「・・・・・・」
思わず黙り込んでしまった。
何いってんだこの人・・・そんな気持ちで頭が埋め尽くされた。
「ねえ何その顔?笑 一緒いこうよ!」
「えーと・・・うん」
「いったね!約束ね!」
そう言ってゆきなさんは、教室を走って出て行った。
僕はゆきなさんの勢いに押されて、つい返事をしてしまった。
「もう、、何してんだよ、、、」
どこにあるのか、どんな場所なのか、なにもかも聞くのを忘れていた。
「たけるー!移動教室・・・ってなんで笑ってんだよ一人で!笑」
ドキッ・・・
(いま一人で笑ってたのか、、もーなんだよ、なんかゆきなさんのせいで・・)
僕は腕をつねって、気持ちを落ち着かせた。
「んーん なんでもないよ いこうか笑」
「おう!はやくしねえと遅刻するぞ!」
「わかってるよ笑」
ヒューーーーー・・・・
窓から風が吹き込んで、カーテンがゆらゆらと揺れる。
窓の奥に見える青空を見て、僕はゆきなさんと見た動画の景色を
思い出していた
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