何を考えてるんだ?

こんな子いたっけ?

突然、違和感に襲われて僕は自分の名前も言わずに、ゆきなさんに聞いた。

「ごめん失礼かもしれんけど、学校来とった?」

「あー私つい最近から来るようになったの!だから正直友達もあんまりいないんだよね笑 あーでも友達作るのは得意だから心配はいらないよ!!」

(つい最近からくるようになった?これは理由を聞いていいのか?いや、もし言いにくいことだったら可哀想だよな)

僕は、今すぐに口から飛びでて来そうだったなんで?の三文字を必死に我慢した。

「別に心配なんかしないよ。でも作れるのは羨ましいかも」

「なんで?あれもしかして作るの苦手なんでしょ!笑」

ゆきなさんが馬鹿にしたような顔で僕を見ていた。

「まあ親友が一人くらい入れば大丈夫なの 僕は」

「親友いるの?どんな子なの??」

「どんな子ってうしろ・・・・」

「ん?なに?うしろ??」

「い、いや、なんでもないよ。」

僕は、なぜかわからないが、ヒロムのことをゆきなさんに隠した。

何故かはわからない。ただ、なんか教えたくないという気持ちに襲われた。

不思議そうな顔で、こっちを見ているゆきなさんを無視して僕は、教室を出た。




キーンコーンカーンコーン

最後の授業を終えるチャイムが鳴って、今日の学校が終わった。

ヒロムとの帰り道。いつも通りヒロムは楽しそうによく話していた。

「やばくね笑まじうけるよなー!!」

「はは笑 たしかにー、、笑」

僕は、朝の出来事を引きつって話の内容が全く入ってこなかった。

(どうしたんだ僕)

「たける大丈夫か?体調悪いんか??」

「ん、なんでもねーよ笑」

変に笑って僕は誤魔化した。

「あれ???」

そう言ってヒロムの足が止まる

「どうしたんだよ」

そう言って、ヒロムが見ていた視線の方を見た

そこには風に煽られて髪がサラサラ~となびく可愛らしい女の子が見えた。

でも見えたのは少しでその子はすぐ道を曲がってしまった。

だけど僕にはそれが誰なのかはすぐに分かった。

ヒロムが歩き出して話しだした。

「あんな子いたっけ?同じ制服だったよな??」

「さ、さああんまよく見えなかったな・・・」

「そーか?まあ一瞬だったもんな!!」

その時僕はいろんな気持ちでいっぱいだった。

またヒロムに誤魔化すように嘘をついてしまったという罪悪感。

そして、ヒロムがまだゆきなさんのことを知らないという嬉しさ。

なんで僕はうれしかったのかは分からない。全くわからなかった。



僕は、何を考えてるんだ・・・

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る