第27話
その負けん気が強いとことか、自分に心底自信があるとことか、銀髪の長所なのかもだけど。
そんな自己中心的じゃ、いつか行き詰まる時が来ちゃうよ。
「2人はなんで代表になりたいの?」
そもそも金髪に至ってはなりたいのかすら不明だ。
「誰よりも強い奴が与えられる称号が"代表"だからに決まってんだろ」
さも当たり前だというように胸を張る銀髪に、思わず呆れた目を向けてしまう。
こいつ馬鹿なのかもしれん。本物の。
「馬鹿がやるよりはマシかなって思いまして」
ほぅら。金髪の方がまともだわ。
まあでも代表っていうポジションには然程執着はしてないし、なれなかったらなれなかったで困んないって感じかな。
「てめぇぶっ殺すぞ」
「そういう短気なところが餓鬼だって言ってるんですよ」
「ああ"!?」
あーあーもう。
「喧嘩しないの。2人実は仲悪いの?」
「当たり前だろうが! 誰がこいつなんかと」
「ただの腐れ縁なだけです」
聞けば、初等部から何かと比べられてきたそうで、お互いあまりいい印象ではないとのこと。
なんじゃそりゃ。めんどくせー
「お前は」
呆れていれば、銀髪から珍しく声をかけられた。
「お前はなんで代表やってんだ」
睨みつける態度は相変わらず。
でも興味はあるから好奇心には勝てずってところか。
「…何でだと思う?」
「あぁ!?」
ふざけてんのかとでも言いたげな銀髪からふいっと視線を外す。
なんで代表やってるか、かー。
成り行きとは言え、1年も経てばそれなりに理由ができたりする。
俺もどっちかというと最初は全く代表なんてやりたくなくて、周りからの批判とかそういうのでやさぐれそうになった時期があった。
無理矢理やらされたのになんで俺が…って。
でもいつからか、俺に代表でありたいって思った瞬間があったように、こいつらにもきっとそう思う瞬間があるんだろう。
そんで、士郎はそれを容易く教えることを多分しない。
だからこれは自分で気づかないとダメなんだ。
だから俺も教えてあげないよーだ。
「いつか俺が話してもいっかなーって思う時が来たら教えるね」
まだまだ先だと思うけど。
そんな時がきたらいいね。
クソ生意気な後輩たちだけど、ちょっと先が楽しみでもあるなと気付かれないように笑う。
「さ。今日中に回って戻らなきゃいけないから、さっさと行くよー」
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