第26話
Fクラスの校舎は一般に比べればそこまで広くない。この調子なら直ぐ終了できるだろうな。
それにしても…ほんっと喋んないなー
ちらっと後ろの2人に目を向ける。
一応ちゃんとついてきてはいるけど、ほんとにただついて回ってるだけって感じ。
一年同士の会話もないし…実は仲悪いの?
なんか話題を…と考えていれば、金髪とバチッと目が合った。
おっと…
「…斗真さんは高等部入学生なんですか?」
綺麗な、澄んだ声が相変わらず顔に似合っているなと思いながら、話しかけられたことに驚いた。
隣を見れば何故か銀髪も目を見開いていて、もしかして珍しいことなのか?と首を傾げる。
「そうだよ。一年の時入学した」
高等部入学したのは俺の代は一般に2人とFクラスに俺1人。
うちの学校はそもそも外部入学志願者すら結構少なくて、学校説明会とかも一人ひとり別で行われるから他の2人とは会ったこともない。
機会があれば話してみたいなぁなんて密かに思ってはいるけど。
「士郎さんたちとはここに入る前からの知り合いですか?」
「…ううん。ここに入ってからかな」
「じゃあどうやって代表になれたんですか?」
その言葉に、どういう意味だと金髪を見る。
掛けられた言葉は捉え方によって様々だろうけど、少なくとも金髪から悪意は感じない。
寧ろ、純粋な好奇心を感じて、誰よりも人間離れした容姿をしているのにどこか何も知らない子供のような印象を与えてくる子だなと不思議な感覚に陥った。
「…なんでだろうね」
謙遜とか、そんなんじゃなく俺にもわからない。
「はん。どーせ媚び諂ったんだろーが」
そうじゃなきゃお前なんかが…と呟く銀髪は相変わらず。
でもまあ、そう思われても頷ける。
「偶然とか運が良かったとか色々言われたことあるけどね、多分そんな感じで間違ってはないんだ」
代表ポジション狙ってた奴らからしたら俺は運が良かったし、士郎たちと知り合ったのは偶然が重なったからだし、実力不足と言われれば否定はできない。
士郎たちにはまだまだ及ばないから。
「そこをね、否定する気はないよ。
ただ…士郎たちを、媚び売るような奴を代表にする人たちだと思うなら、何も見えてないんだなとは思うけど」
そう言って銀髪を見て笑う。
お前の攻撃は全く効かないぞという気持ちを嫌味と共に込めれば、それはちゃんと伝わったらしい。
悔しげに唇を噛む銀髪に、ちょっと子供をいじめてる気分になった。
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