第25話

カッコつけて外に出たものの、ついてきてくれないんじゃ?という思いが一瞬脳裏を過って後ろをチラッと確認する。


金髪と、銀髪も一応ちゃんとついてきてくれていることに少しホッとした。


りづさんに言われた手前だろうけど、意外と律儀なタイプなのかな。


虎雅と同じだと仲良くなれる気はするんだけどなぁ。



「ここが2年の教室ね。

階は違うけど代表は学年関係なく行き来したりするから覚えといて」



3年の教室を軽く周り、次に2年の教室へ。


やっぱり学年の違う教室は珍しいのか、2人ともキョロキョロしてる姿がなんか面白い。




「あれー、斗真なんしてんー?」



窓際で集まっていたうちの1人。

由良が俺の声に反応して顔をあげる。


それに釣られるように友人たちが物珍しそうに口々に声を掛けてきた。




「1年代表に校舎案内。てか授業は?」



Fクラスとて授業は行われる。


一般クラスの教師とFクラス専属の教師が分かれて在籍していて、Fクラス生は一応Fクラスの教師の言うことはちゃんと聞く。



とっくに授業が始まっている時間帯なのにも関わらず、好き勝手やってるみんなに首を傾げた。


確か今の時間は現国だったはずだ。



「はっちゃんがお腹壊してトイレこもってるー」


「え、また?」



八谷康太先生。通称"はっちゃん"


我が2年Fクラスの担任である。



見た目は俺より弱そうな先生で、よく変なものを食べてお腹を壊す。


新学期でも相変わらずだなと苦笑いを浮かべた。



「斗真みろよこれー、まじやばくね?」


「お前絶対この子タイプだろー?」



「まったお前らは性懲りも無く…」



エロ本しか暇潰しできるものないんか。



「てかこいつあれじゃん。

昨日斗真のことめっちゃ馬鹿にしてた一年」


「お前ぇあんまし2年の前であーいうのやめとけよぉ。殺されんぞ過激派に」


「楽なんかすっ飛んで行きそうだったw」


「楽は勝てねぇだろw」



「あーもううっさい!

お前ら八谷先生が帰ってくるまでちゃんといろよ」



絶対サボんなよと告げる。




「わかってるよー」


「お前まじで母ちゃんみてぇ」


「姑じゃね?」



「お前らがちゃんとやってたら言わんわ」



口々にぶーぶーと文句を垂れる友人たちを軽く遇らいつつ、中にいる人数を数えていく。



「今日欠席は?」


「新入りと鉄喜がいねぇなぁ。

あとはー…泰雅はさっきどっか行った」


「ああ、了解。その3人は放っといて大丈夫」



泰雅は多分いつもの見回りだろう。


他2人は何してるか知ってるから問題ない。



「八谷先生ならわかってると思うけど、一応その3人は授業免除しといてって伝えて」


「おけー」


頼んだよ。と告げて教室を後にする。







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