第24話
次の日、士郎から正式に一年代表が発表された。
いつもの溜まり場に挨拶にやってきた一年は、俺の予想通りやっぱり銀髪と金髪だった。
「一年代表、真崎千里(まさきせんり)っす」
「叶壱流(かのういちる)です」
入るや否やギロッと俺を睨みつける銀髪と、キョロキョロと部屋を見渡す金髪。
ほんっと性格真逆だなぁ。
「俺らも自己紹介しよっか?」
「いや、必要ないっす」
小首を傾げるりづさんに知ってるんで。と首を横に振る銀髪。
りづさんはそう?と返す。
「じゃあ俺らは置いといてとーまの自己紹介だけ軽くしようか」
え。と思わず声が漏れる。
いらねぇっす!!と叫ぶ銀髪を他所に、人の話を全く聞かないりづさんから俺の自己紹介が始まった。
「九重斗真(ここのえとうま)…名前は昨日聞いたっけ?
高等部入学生で2年代表ね。
1年の時は一人で代表してて、2年に上がってからも一応2年はとーまだけが代表の予定」
わかったー?と聞くりづさん。
薄々勘付いてたけど、やっぱり2年に上がっても代表は俺一人だけでいくらしい。
虎雅らへんが増えてくんないかなとか思ってたんだけどなぁ。
つかどう考えても俺一人って荷が重い。
士郎たち3年は3人で、1年は2人いるのになんで俺だけ一人なんだ。
「で、代表の仕事をこれから2人に覚えてもらうんだけど…俺らは別の仕事で今手一杯だからとーまに教えてもらって」
………………………え?
「…はあ!?」
一瞬遅れて叫ぶ銀髪。
あっぶな、俺の脳内一時停止したよ。
「これから一般クラスとの交流とかね、色々あるから頑張ってできるだけ早く慣れてねぇ」
「ちょ、まっ、理鶴さ、」
「とーま真面目だからちゃんと教えてくれるよ。」
大丈夫大丈夫。と笑うりづさん。
いや、銀髪が心配してんのはそこじゃないですよりづさん。
一ミリも大丈夫じゃないしね。
ちらっと士郎たちに視線を向ければ、士郎だけじゃなくりづさんや玲鷹さんもこっちを見ていてドキリと胸が脈打つ。
ああ…久しぶりだな、このプレッシャー。
見定められてる感がふつふつと伝わってくる。俺が代表になった時に向けられた視線そっくりだ。
"ちゃんと教えてくれる"ね。
大層なこと言ってくれるな。
「とーま、お願いできるかな?」
問いかけてくるりづさん。
それに返す答えは一つしか持ち合わせていない。
「はい。」
短く頷き、絶叫する銀髪と金髪についてきて。と声をかけた。
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