第五章:木の家、崩れる

「コブタめ……どこに隠れたかと思えば…ここか?」

木の枝で作られた、モクの家の前に、オオカミが姿を現しました。


三匹は木の枝の隙間からその姿を確認して震え上がりました。


「出てこい! さもなくば……また吹き飛ばすぞ!」


オオカミの怒声が、家の中に響き渡ります。

ですが、三匹は勿論、沈黙を保ち、動きません。


「フン……藁の家よりは多少頑丈そうだが……

 こんな木の枝の小屋で、

 俺から隠れられると思ったのか!?」


オオカミはニヤリと口元をゆがめ、息を大きく吸い込みました。


ゴォオオッ!!! 


空気が震え、木々の葉がざわめき、

唸るような風が吹き荒れ、枝の壁がミシミシと音を立てました。


バキィンッ!! ガラガラガラ…


家はあっという間に吹き飛び、

三匹は叫び声を上げながら散りぢりに転がり出ました。


「うわぁぁぁぁ」

「逃げろ!!」

ポルが叫び、モクとレンもそれぞれ別の方向へ駆け出しました。


「なんだ!? 三匹もいる!? ……ど、どいつを……」

オオカミは左右に首を振りながら混乱しました。


「一番大きなブダか!?

 いや、あっちのブダか!?

 やっぱり一番小さなコブタか!?

 ……チクショウ、追いきれねぇ!!」


結局、オオカミは一匹も捕まえることができませんでした。

三匹は、それぞれ別々の場所へと必死に逃げていったのです。



荒れ果てた木の枝の家の跡に立ち尽くし、オオカミは忌々しげにうなりました。

「こうなりゃ……次は、もっと確実に……!」



森の奥に響く、低い唸り声――

三匹の運命は、まだ終わっていませんでした。




続く~第六章へ~




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