第六章:力を合わせて

丘の向こう、森の奥、川のほとり――

それぞれに逃げた三匹のコブタは、再び同じ場所を目指して走っていました。

「レンの……レンガの家に行こう!」


三匹が向かう先はただ一つ。

そう、レンの頑丈なレンガの家でした。


ようやく合流した三匹は、まだ完成しきっていない、レンの家の前に立ちました。


レンが額の汗をぬぐいながら言いました。

「もう少しで、完成なんだ……」

「よし!こうなったら、三人で力を合わせて仕上げよう!」


ポルが大きな声で言い、モクも元気にうなずきました。


レンは嬉しそうに言いました。

「みんなでやれば、きっとすぐだよ!」


それぞれが道具を手に取り、レンガを運び、泥を塗り、壁を積んでいく――


息を合わせた三匹の作業は驚くほど早く、

あっという間に立派な家が出来上がりました。


「できたー!!」

「すっごい!ちゃんとした家だ!」

「うん、これなら絶対に安全だ!」

完成した家を見上げ、三匹は満面の笑みを浮かべました。




しかし――そのとき、風の中にまた、あの臭いが混じっていました。


レンの鼻がぴくりと動き、ポルとモクも同時に顔を上げます。

「……来た!」

「見つけたぞ、三匹のコブタァーー!!」


森の中から響く、あの声。

オオカミが、またやって来たのです。


「急げ、家の中へ!!」

三匹は慌ててレンガの家へ駆け込み、ドアをしっかりと閉め、閂を下ろしました。


「これで絶対に入れない!」

「レンガの家なら……

 絶対に吹き飛ばされたりしないよ!」

家の中で、三匹は肩を寄せ合いながら安堵の息を吐きました。




外ではオオカミが、ドアを叩いたり壁を押したりしてみますが、

びくともしません。

「くそーっ!! なんて頑丈な家だ!!」


歯噛みするオオカミ――


ですが、ふと見上げた先に、何かを見つけました。

それは、煙突。


「……ふん。上からなら……入れそうだな……」

闇に紛れ、オオカミの目がぎらりと光りました。




続く~第七章へ~



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