第9話

 岩本は身を乗り出す。

「う、嘘だろお!?」

 岩本はドアに鍵がかかっているのを確認した。

「逃げる? いや、今出たら鉢合わせる」


 殺人鬼は通路を歩いていた。

 監視室の名前が書かれたプレートを見る。

 監視室のドアを凝視。


 ドアがガチャガチャとされた。

 心臓が早鐘をうつ。

 岩本は息を殺してドアを凝視した。

 ドアの向こう側にあの白塗りの男がいるのは間違いない。

 開けたらどんなことになるのか……考えたくもなかった。

 すぐに静かになった。

 モニター映像の殺人鬼を見る。モニター近くに置いてある、山口から貰ったクッキーが目にはいる。

「山口さんが危ない!」

 岩本は山口に電話した。プルルル。

「山口さん!」

「どうしました?」

「殺人犯が入ってきた! 逃げて!」

「え?」

「今どこ?」

「見回りで1階のエレベーターの近くだけど……」

 カメラを見る。犯人の位置と山口の位置を確認。

「今すぐ、エレベーター乗って! 4階!」

「え、でも」

「いいから、早く!」

「う、うん」

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