第17話の1 頼もしい追跡者
痛い、痛いよ。
冷たくて寒い。
もう体が動かない…。
悪いやつに連れていかれた妹を、さがさないといけないのに。
誰か。
誰か…たすけて…。
「もし、大丈夫ですかキミ」
温かい、強いうでがぼくを抱き上げた。
「これ、飲めますか。ゆっくり」
なんだか甘いものが口の中に流れてきた。
飲み込むと痛いのがなくなった。
まだよく見えないけど、誰かがぼくをしっかりと抱いてくれていた。
「何があったか話せますか」
ぼくは声をだそうとしたけど、かひゅっ、ひゅって声しか出なかった。
「のどをやられたようですね。キミ、これに触ってごらん」
その人は何か固い木の板のようなものを取り出して、ぼくの手をとって触らせた。
(これはなに?)
「ああよかった、ちゃんと聞こえますよ。助けてあげますから、何があったか、頭の中で思いうかべてごらん」
ぼくはいっしょうけんめい、心の中で伝えた。
馬車で家族みんなと移動していたこと。
初めてのおでかけで妹がとってもはしゃいでいたこと。
馬車が止まったらドアを開けて妹は飛び出していってしまい、ぼくがあわてて追いかけて追いついたけど、どこかわからない臭くて暗い場所にきてしまっていたこと。
そして迷いながら歩いていたら、悪いやつらが妹を抱き上げて連れて行こうとして、ぼくは妹を連れていかれないようにかみついたり引っ張ったりしていたら、叩かれて蹴られてこうなったこと…。
「話はわかりました」
その人は「よくがんばりましたね」とぼくの頭をなでてくれた。
けど、なんだかとても眠たいんだ。
「大丈夫、目がさめたらご家族がいますからね」
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