第16話の7 カーテンコール
「素晴らしい歌でした」
歌を披露し通行人から金を集めている黒髪の女性に声をかけてくる者があった。
仮面をつけている男だった。
「私、明日からこの町でショーをする者でして。同じ旅芸人としてあいさつさせていただいた次第です」
「へえ、そうなんだ。アタシはミーナ。旅をしながら歌で稼いでるんだ。少しだけ癒しの効果もあるんだよ。まあ肩こりとか鼻づまりが治る程度なんだけど」
「聞きほれました」
仮面の男は歌の礼として金をミーナに渡した。
「ちょっと、10万ギルも。いいのかい?」
「ええ、以前渡しそびれていた残金です」
「は?」
「いえいえ、こちらのことで。お時間あったらまたうちのショーでも見に来て下さい」
「それは残念。アタシは明日ここを発つんだ。次の街にそろそろいきたくてね」
ミーナは笑って金を鞄にしまった。
そうして立ち去ろうとして振り返り、仮面の男をまじまじと見た。
「あんた、どっかで会ったかい?」
「さあ、どうでしょうねえ」
仮面の男は笑ってみせた。
「ふうん、まあいいや。じゃあね」
「またどこかでお会いできるといいですねえ」
「そうだね」
今度はお互いに振り返ることなく、別々の方向に歩いていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます