第15話 「マネキン」
俺はデパートの夜間警備の仕事をしていて、この日は初めて一人で巡回をする事になっていた。
「あ"ー...最悪だ。コンタクトレンズもメガネも置いてきちまったじゃねぇか......」
「...まァ、先輩が出勤してくるまではなんとかやらねェとな」
スタッ
.・゜゜・ ・゜゜・..・゜゜・ ・゜゜・.
事務室を出て、売り場の巡回を始めた。
トコトコ...
「二階は異常なしだな。ボヤけてても意外と仕事って出来るもんなんだなァ...」
「さて、一階も確認して事務室に戻るか。」
.・゜゜・ ・゜゜・..・゜゜・ ・゜゜・.
洋服売り場に来た時
じっと見られているような感覚がした。
「んぁ?...マネキンか。はっきり見えねェと怖ェな」
一階の確認も終えて、事務室へ向かった。
.・゜゜・ ・゜゜・..・゜゜・ ・゜゜・.
「おー、お疲れ様ぁー」
事務室に戻ると。先輩が出勤していた。
「お疲れ様です!良かったァ、一人じゃ心細くてマネキンにビビってたんで...」
「マネキンでびっくりしてるようじゃまだまだだねぇ...」
「じゃ、行ってくるね、巡回」
「はい、お願いします」
.・゜゜・ ・゜゜・..・゜゜・ ・゜゜・.
先輩が巡回に出てから数分後
「ねぇ!聞こえる?!」
「強盗に入られてる!すぐに警察に通報してくれ給え!!」
先輩から入った無線で、一気に眠気が吹き飛んだ。
.・゜゜・ ・゜゜・..・゜゜・ ・゜゜・.
俺は警察に通報してから、状況を確認するために売り場に向かった。
洋服売り場を通りかかると、マネキンが無くなっている事に気づいた。
「A原が巡回したときには異常無かったんだよねぇ...一体どこから...」
「なァ、先輩。この洋服売り場ってマネキンありましたよね?」
「え?いや、この店にはマネキンなんか置いてないよ」
.・゜゜・ ・゜゜・..・゜゜・ ・゜゜・.
〚 解説 〛
デパートで夜間警備の仕事をしている主人公。コンタクトレンズを忘れてボヤけた視界でしたが、巡回をしていました。
主人公に次いで先輩が見回りに行くと、強盗に入られている事が発覚しました。売り場に駆けつけると主人公が怖がっていたマネキンが無くなっていました。先輩はマネキンは元々置いていないと話しましたね。
つまり、主人公が見たのはマネキンではなく、強盗犯だったということでしょう。
主人公が見回りをした時は売り場が荒らされている形跡はなかったので、犯人はタイミングを図っていたのでしょうね。コンタクトレンズをつけていたら、マネキンと勘違いすることもなかったのでしょうね。気づいてたら、それはそれで危なそうですが。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます