砥石

盂蘭盆の送り火にかざして

和包丁を研ぐ

貴方の歴史を刃であたる


柳刃は霧の倫敦の

惨殺事件をおもわせるほど


　押さえがたい

　痩せた指の力で

　粗めの石に

　びったりと寄り添わす


しのぎを削る　心の揺らぎに

くぼんだ水たまり

血でなめらかに

鉄さびをこすりそぐ　稜線の波


　貴方は砥石　私は刃

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう！

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録（無料）

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る