上位種級の街遊び
「あれ?どうしたんだろう?」
街までまだ距離があるのに優奈が立ち止まって海の方を見ている。冴香が近づいていくと、なんとなく理由が分かった。膝の辺りから下にかけて、何か小さなものが爆ぜている。たぶん海上に浮かんでいる艦隊からの攻撃だろう。
「優奈ちゃん、どうしたの?」
「あ、冴香おねえちゃん。なんか、こびとさんが攻撃して来るの。優奈が街をおもちゃにしようとしてるからかなぁ。」
「そうかもね。でも、ここに街を作っていいってアタシ達は言ってないんだけどね。優奈ちゃんはどうすればいいと思う?」
少し考えた優奈の答えは、
「そっか、いけないことをしてるのがわかってるから攻撃して来てるんだね。じゃあ、やっつけないと。」
なかなかに素直だ。もうひとつ、自分に攻撃するような生意気なこびとは懲らしめなければいけないと優奈なりに普通種に対する優越意識も芽生えていたからだろう。
「じゃあ、まずあっちの戦艦で遊ぼうか。優奈ちゃんだったらアタシと同じ遊びできそうだからついて来て。」
冴香がザバザバと海に入っていき、優奈も後に続いていった。
攻撃がさらに激しくなる。膝あたりだった着弾の範囲が胸元にまで広がっている。
冴香はさらに近づいて、まず一番大きな空母を摘まみ上げた。一番大きいといってもたかだか全長300mだ。冴香の中指の長さといい勝負でしかない。
冴香としては艦載機が飛び回ると少しウザいと思ったのでまず空母を餌食にしただけである。
その空母を巨大な黒ビキニに包まれた爆乳の谷間に横たえた。
「すっごい!おっぱいの上にこびとさんの船、乗っかっちゃった!」
優奈が瞳をキラキラと輝かせている。
「優奈ちゃんもできるよ。そこの戦艦とか余裕でしょ?」
優奈も全長250mほどの艦隊の中では一番大きな戦艦を軽々と摘まみ上げ、ピンク色のビキニに包まれた、あどけない顔には不似合いなほど巨大な爆乳の谷間に乗せる。
主砲が乳壁に命中するが、優奈は「くすぐった~い。」とクスッと笑うだけだ。
「やっぱり優奈ちゃんだと余裕だね。じゃあ、乗っけた戦艦をこんな感じで挟んでみようか。」
冴香が空母の甲板をそっと指で押すと、メキメキと甲板が破壊される音が聞こえるが、同時に船体全体が爆乳山の谷間に呑み込まれていった。
「こんだけ大きいと後は何もしなくても潰れちゃうよ。優奈ちゃんもやってみ。」
「うんっ!」
冴香が空母を挟み込むところを目を輝かせて見ていた優奈が、自分の胸を見下ろすと、まだしつこく砲撃しているようだ。
「優奈のこと撃ってきたから仕返しだよっ!」
指先を一番高い場所にある艦橋に押し付けると、クシャッ・・・簡単に押し潰してしまう。さらに指をゆっくり押し込んで、巨大なはずの戦艦の全体を、巨大山脈の谷間に押し込んでしまった。
直後に、ポンッ!という音が聞こえたので見てみると、優奈の胸の谷間から細く黒い煙が立ち上っている。冴香はそれを見て、
「ピッタリ挟まった時に主砲でも撃ったのかな?暴発しちゃったみたいだね。」
優奈が平気そうな顔をしていたので、笑ってそれを見下ろしていた。
ふたりの大巨人が、少し上体を屈めて艦隊を見下ろしている。水深1000m近いというのに海上にはふたりの膝が余裕で出ているのだ。途方もない大きさだ。
しかも、旗艦である空母と、主力艦の大型戦艦が瞬く間に摘まみ上げられ、あろうことか巨大な胸の上に乗せられてしまったのだ。それだけで艦隊は恐慌状態に陥っていた。
脚の間をすり抜けて逃げようとした駆逐艦は、大巨人の指に摘まみ上げられ遥か上空で捻り潰された。ペシャンコになった船体が海上に叩きつけられ、何隻かが巻き添えになってしまう。
恐慌状態に陥り必死に攻撃していた何隻かの巡洋艦は、突然現れた50m近い大きさの人差し指で纏めて弾かれ、木端微塵になった。
ふたりの大巨人が現れて1分も経たずに洋上の艦隊がほぼ壊滅していく様を、陸上の司令部では指をくわえて見ているしかなかった。
「だいたい片付いたかな。上陸しようか。」
残りの艦船群をひょいひょいと摘まみ上げて掌に乗せ、軽く握り潰すと、冴香は陸地に向きを変える。
「は~い、でも冴香おねえちゃん。優奈たち、なんか怪獣みたいだね。」
「そうね。優奈ちゃんは怪獣ごっこは嫌い?」
「ううん、悪いこびとをやっつけるいい怪獣だし冴香おねえちゃんと一緒だから大好きだよっ!」
悪いこびとねぇ、向こうから見たら私たちが悪い大怪獣なんだけどね。
「なんかちっちゃいなぁ・・・」
優奈が急ごしらえの港近くで立ち止まり、足元を見下ろしている。停泊していた貨物船は大波をもろに受けて陸に打ち上げられたり、横転して残っていた積み荷を海上にぶちまけたりしている。
ズゥッズゥゥンッ!!
港口の何かよくわからないものが集まっている場所に一隻の貨物船が転がっていたので、そのあたりを踏み潰して優奈は上陸した。
冴香は、まず海沿いの空港施設、滑走路に巨大な一歩目を刻んだ。これで航空機は運航不能だ。次いで急ごしらえの管制室のあたりを踏み潰すと、もう指令室と思われる建物まで一歩も無い。両手で建設途中の建物や重機群、作業中の大勢のこびとたちを押し潰して四つん這いになり、指令室を谷間に挟むような形で片方だけで幅800m近くある爆乳を横たえて優奈に声を掛けた。
「優奈ちゃんもおいで。目の前におねえちゃんみたいに寝そべって。」
「は~いっ!」
楽しそうに造成中の市街地を作業中のこびともろとも踏み潰して遊んでいた優奈がズッシンズッシンとスキップしながら近づいて来て、冴香の目の前に寝そべった。
こちらも片方だけで幅600mを軽く超える爆乳が横たわった。
黒い巨大な壁とピンク色の巨大な壁に囲まれた指令室からは必死に『降伏する』と使えるすべてのスピーカーを使って叫んでいたのだが、優奈にはよく聞こえず、冴香の耳には届いたようだが、冴香はニヤッと残酷な笑みを浮かべただけだった。
「冴香おねえちゃん、これどうするの?」
「優奈ちゃんの大きなお胸を乗っけてあげてくれる?女の子の胸に押し潰されたらたいがいのおじさんは喜ぶからさ。」
我ながら訳の分からないこと言ってるなぁ、と冴香の顔が思わず綻んでしまう。
「うん、わかった~!」
優奈が右胸を少し持ち上げて身体を前に動かす。これだけで、巨体と地面の隙間で何とか生き延びていた何人かも完全にすり潰されてしまう。
ズゥッドォォォンッ!!!
優奈がパッと手を離すと、巨大な爆乳爆弾が指令室一帯に直撃し、一瞬で叩き潰した。ふたりが上陸してから約30秒後には、無断で上陸し基地まで作っていた某国の先遣隊はほぼ全滅状態になっていた。
「あっ、忘れてた。」
優奈が胸の谷間から何かを摘まみ出す。さっき、中に挟んだ戦艦だ。だがその形状はほとんど幅が無いクシャクシャのスクラップになっている。主砲があった辺りが黒ずんでいるのは暴発したせいだ。その主砲は影も形も無い。爆発した後凄まじい乳圧ですり潰されたのだろう。船体も縦にペシャンコに潰れほとんど幅が無い状態だ。
「なにもしなくても壊れちゃうんだね。」
優奈は摘まんだ戦艦をポイッと投げ捨てた。
「そっか、アタシも。」
空母を挟んでいた冴香も同じように空母だったものを摘まみ出して放り投げる。
「だいたい潰したからそろそろ戻ろうか。」
「は~い!」
最後に冴香が身長69.8kmに少し巨大化して優奈を掌に乗せ、街だった場所を適当に踏み潰してほとんど全滅させ、西へと戻っていった。
ひととおり東側の掃除をして西海岸に戻ると、東の大陸の巨人種の残り2人も加わって楽しく遊んでいたようだ。なんか、仲良くなっているような気もする。
冴香は優奈を地面に降ろすと、東の巨人種の一番年上の子を摘まみ上げて手のひらに乗せた。
「一応アンタたちの祖国だからね。どっか行けとは言わないから安心していいよ。そのかわり、こっちの巨人種の子たちもたまにここで遊ばせるけどいいよね。」
東の巨人種の子は少し戸惑った顔をしていたが、友達が増えるならと了承した。
別に命令してもよかったんだけどね。無理にって言うのも気が引けるし。
そう思いながら、連れて来た巨人種たちを掌に乗せ、もちろん優奈も一緒に乗せて引き返していった。
戻ったら色々相談しなきゃかなぁ、特に優奈ちゃんのこと。冴香の勘だと恐らく1万倍は超えそうな気がしてならなかったのだ。
「そうすると、西か北か。。。東はちょっと距離あるもんなぁ。」
冴香の独り言がだだ洩れだったらしい。全員が冴香の顔を見上げている。
「ああ、ごめんね、何でもない。ほら、もうちょっとで着くよ。」
海岸線まで近くなってきたので、冴香もなるべく波を立てないように慎重に歩を進めるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます