北の滅亡
美晴が北の上位種を吊るしながら首都に向かって進撃していると、何か大きめのものがこちらに向かって飛んでくるのを視界の片隅に捕えた。
「なんだろ?」
標高5000mを超える山脈地帯をそれとは気づかずに丸ごと踏み潰し、さらに数千m陥没させて巨大な足跡を刻んだところで、飛んで来たものを左手で受け止める。
「これって・・・」
巨大な人間だ。身長は200kmといったところか。10万倍に巨大化した上位種だが意外と軽く感じる。今の自分の半分弱ほどの身長なので体重は美晴の十分の一といったところだろうが・・・それほどの重さを感じない。
それに、全身が痙攣しているように見えるし、腰のあたりが不自然に凹んでいる。
西の大陸の方を見ると、同じく10万倍になった冴香の姿が数千km向こうに見える。
(あの子、ここまで蹴っ飛ばしたな。飛んできた跡が一直線にグチャグチャになってるもんなぁ。こりゃ、かなり殺っちゃったね。)
「でも、こんなじゃあ、おもちゃにもなんないじゃん・・・」
中途半端に大きいので潰すと汚れるし困ったなぁ・・・という感じで扱いに困っていると、西の上位種の身体がみるみる小さくなっていく。
「あら、限界なのかな?はやっ・・・」
最大に巨大化できる上限が高いと限界が来るのも早いらしい。私たちには限界なんかないのに、ちょっと可哀そ・・・
ちょうど右手で吊るしている1万倍の北の上位種に見せつけるように、西の最強上位種を巨大な爆乳山の谷間に挟み込む。
「私のパイ圧に耐えられるくらいの大きさで止まるといいね。アンタも小さくなり始めたら挟んであげよっか。」
北の上位種の泣き叫び方は尋常ではない。たぶん、巨大な胸で色々遊んでたから爆乳の破壊力も知っているのだろう。
「あ、潰れたみたい。」
美晴は指先で少し谷間を広げて、谷間にへばり付いている小さな赤い染みを北の上位種に見せつけて、さらなる悲鳴を上げるのを楽しみながら再度首都に向かって歩き出した。
何か足元がこそばゆいと思って首都の手前で一度止まって下を向くと、とても小さな黒煙が山ほど上がっているのが見える。
(そうだよねぇ、そりゃ必死に攻撃するよね。でも、こんだけでかくなっちゃうとなんにも感じないんだよなぁ。そうだ!)
美晴はゆっくりと四つん這いになると、首都の市街地の手前、緑が多くなってきている辺りに狙いを定める。両手は山だったか平地だったかわからないほど低い場所に押し付けられて等しく押し潰して、幅30kmはありそうな巨大な手形を作り上げている。
「こんだけ近づいても模様にしか見えないかぁ。まあ、なんとなくわかるから、この辺でいいかな。」
美晴としてはゆっくり寝そべっていったつもりだったが、標高50km以上の超巨大山脈がふたつ、音速を超える速度で激突し、首都の手前100km四方を凄まじい質量で完全に押し潰し、首都の半分以上を吹き飛ばしてしまった。
同時に首都を守るように全面展開していた数万台にも及ぶ戦車や対地対空ミサイル、そして、100名近い巨人種たちも一瞬でペシャンコにされて、超巨大パイ拓の中に貼り付かされていた。
「しまったぁ、おっぱいの重さのこと忘れてたよ。」
寝そべって、あらかた壊滅してしまった北の大国の首都を見下ろしてみる。情報では数十人いたはずの巨人種の姿も全く見えない。まさか全員が爆乳の下でのしイカ状になっているとは考えてもいなかった。
「まあ、いっか。」
美晴は指先に摘まんでいた身長30kmほどの北の上位種を目の前にぶら下げ、自国の首都の惨状を見せつけてやった。
「ちょっと散歩して寝そべっただけで壊滅しちゃったね。弱いって罪だよねぇ。」
完全に強者の論理を振りかざし、目の前で泣き叫んでいる上位種をプラプラ揺らして遊んでいる。
ゴギョッ!!!
直後に北の上位種が絶叫しながら100kmほどの高さから首都のまだなんとか形として残っていた中心部に向かって真っ逆さまに落下していく。
美晴が彼女の腰骨を砕いて指を離したのだ。さっき下半身を使い物にできなくしたばかりなのに念には念を入れてということだろう。
何しろ五体満足だと逃げられる可能性がある。捕まえたままにするか、遊ぶ時は動けない様にすることは上位種を相手にする上では基本中の基本だ。上位種の特性は上位種だからこそわかる。このサイズで自由にしたら、地上の被害を無視すれば世界のどこにでも数秒で移動できてしまう。最悪は瞬く間に本国に上陸されてしまうからだ。最終的に掴まえられても被害は夥しいものになるだろう。
「ごめんねぇ、逃がすわけにはいかないのよ。」
美晴はクスッと笑うと、中心部の数十km四方の範囲を一撃で壊滅させた上位種を指先で押さえつける。
「あなたのおっぱいも相当大きいけど、可愛いもんよね。」
恐ろしく巨大な人差し指が、この国最大最強の上位種を指先だけで蹂躙している。巨大な胸はそれよりも太い指先に押し潰され、揉みしだかれている。上位種の悲鳴とも喘ぎ声とも言えない叫びが街全体に轟き渡る。
数少なくなっている生存者にも容赦なく絶望が浴びせられた。
「あら、限界かしら。」
いつの間にか北の上位種は美晴の小指よりも小さくなっていた。まだ、徐々に小さくなっているようだ。
「じゃあ、おしまいにしてあげようかな。見えなくなって運よく生き残ってもらっても困っちゃうからね。」
美晴は寝そべったまま右手で右胸を持ち上げ、そのまま首都の上に翳すように少しだけ匍匐前進する。直径60kmの小惑星のような巨大な乳房が首都上空に覆いかぶさり、一帯を暗闇に染める。
地面に乗せられたままの同じ大きさの左乳房が、山も川も湖も周辺の小さな都市群もすり潰して、首都の真横に巨大な壁を作り上げている。
「片っぽだけで充分かな?」
中央に何とか視認できる大きさにまで小さくなった北の上位種に狙いを定め、美晴はパッと右手を離した。
ズゥゥッドォォォンッッッ!!!!!
大激震が大陸全土に襲い掛かる。周囲は秒速数百kmというとんでもない突風にさらされ、人工物はもちろん、自然物でさえ粉々になって吹き飛んでいく。
「なかなかの破壊力だねぇ、でも、冴香ちゃんのおっぱいだともっと凄いのかなぁ。」
呟きながら上体を起こすと、右乳が叩きつけられた場所は直径100kmはあろうかというすり鉢状の巨大なクレーターが作られ、その隣りには超巨大ブルドーザーで整地したような幅50km以上にもなる左乳の蹂躙の跡がくっきりと残っていた。
「いちおう確認しとくかな。」
美晴はするすると身長52.8kmまで小さくなり、自身が乳だけで作り上げた大破壊の跡地に足を踏み入れていった。
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