第40話 駿河の覇道

 ―札幌・再生地区FREEDOM CITY構想地帯。


 朝焼けの中、佐倉とユウトは再建予定地の中心に立っていた。


 だがその空気は、突如として震える――


 低く唸る轟音。  地鳴りのような振動。


 それは“戦車”の足音だった。



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◆ 北方からの侵攻:今川義元の再来


 丘陵地の向こうから、重装甲の兵器群が姿を現す。  旧型の戦車を魔改造した“今川装甲軍団”。  砲塔には菊の家紋、そして側面には「駿河の覇道」と書かれた赤い旗が揺れている。


 先頭に立つのは、金属のマントをたなびかせた――


> 今川義元・武装大名Ver.(機甲戦術特化)




 戦国の名将は、ドリカム社の《復元AI計画:SENGOKU-LINK》により、AIベースのサイボーグとして蘇っていた。


> 今川「ここが“夢を再生する都市”か。ふん、無謀よ。夢は秩序に従い、制御されねばならぬ」




 彼は今、ドリカム社を離れ、独自に“夢の支配”を掲げて勢力を広げていた。  《ZONE-0》崩壊を感知し、札幌を新たな制圧拠点に選んだのだ。



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◆ 佐倉 vs 今川義元・開戦


 佐倉は咄嗟にギター型兵装幻律弦を再展開するが、  今川軍の砲撃は容赦なくFREEDOM CITY跡地に着弾する。


 炎と瓦礫が舞い上がるなか、ユウトがEMPライフルを発射。  数台の装甲車を無力化するが――


> 今川「ぬるいな。夢など、火力の前には塵に過ぎぬ」




 今川の側近機「義元機甲槍隊」が展開される。  人馬一体のような形状で、夢に関する記録を“燃料”として突撃する奇怪な兵器。



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◆ 新たな力:《幻律弦:Rebuild Edition》


 破壊されかけた幻律弦のボディ。  だが佐倉は、ZONE-0で得たPrototype-SAKURAの最終コードを起動する。


> ♪「この旋律うたはまだ――終わってない」




 幻律弦は赤黒い光を放ち、《Rebuild Edition》へと進化。


 その音は、音波干渉で装甲を切り裂き、演奏と同時に“思念干渉”を生む。



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◆ クライマックスバトル:  

 佐倉&ユウト

 vs

 今川義元(機甲将軍)&義元機甲槍隊+魔改造戦車部隊


 戦場は札幌駅北口一帯に及び、旧再開発ビルの屋上で最終対決が始まる。


 今川の巨大な機甲槍が、佐倉を吹き飛ばす。  だが佐倉は、瓦礫の中から立ち上がる。


> 佐倉「夢は“抑え込むもの”じゃねぇ。“響かせる”もんだろ」




 Rebuild幻律弦が奏でる即興演奏。  

 それは、かつて義元が若き日に聞いた雅楽を思い出させる旋律だった。



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◆ 義元の敗北と、最後の言葉


 共鳴によって装甲が崩れ、義元のAIユニットが露出する。


 そこに佐倉の音刃が届く。


> 義元「……ぬかりはなかった、はずなのに……なぜだ……夢ごときに……」

佐倉「それが“人”なんだよ。AIには収まらない、バグみてぇな存在なんだよ」



 義元のユニットは、古の記憶と共に沈黙する。


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◆ 戦後、再生へ――


 今川軍の残党は、音響干渉によりすべて中立化され、瓦礫の中から市民たちが避難しながら顔を上げる。


 焼け落ちたビルの隙間から、陽が差し込む。


> ユウト「またゼロからか?」

佐倉「……いいや、“1”からだ。俺たちには、もう“音”がある」





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