第38話 WINGWILLの怪物

 ――静岡・WINGWILLスタッフ支部跡地。


 EMP手榴弾の炸裂から、わずか十数分後。

 佐倉とユウトは、魔法の絨毯の力を使い、札幌から“瞬間移動”で現地に降り立った。


 灰と化した事務所の残骸。

 しかし、そこには“まだ終わっていない気配”があった。


 佐倉の耳に、ノイズ混じりの低周波が響く。


> 「ようこそ、“解雇者”。ようこそ、“再構成者”」




 灰の中から、異形の影が立ち上がる。



---


 ◆ 登場:怪物化幹部・支社長ヌマクラ


 全身は黒いタール状のスーツに包まれ、スーツの襟元には“WINGWILL”の旧ロゴ。

 しかしその顔は、人間のものではなかった。


 肌は青白く爛れ、口元は左右に裂け、

 そして背中から無数の解雇通知のような紙片の翼が広がっていた。


 かつて「温厚で物腰柔らかい」と評された支社長・沼倉。

 だが今、その心はドリカム社の負の感情兵器に触れ、完全に怪物化していた。


> 「我々は、お前を“切った”のではない。社会から“守った”のだ」




 指を鳴らすと、周囲の焼け跡から数体の**労働契約兵(パペット・スタッフ)**が再生する。



---


 ◆ 佐倉、怒りと再起


「守る? あんたたちが“夢”を殺したんだよ」


 佐倉はギター型兵装幻律弦を逆手に構える。

 ユウトは背後でEMPライフルを展開。


> 「あんたたちは、人の夢を“業務経験”と“社内評価”に変えて吸い取ってた」




 そして――魔法の絨毯が、佐倉の背中から新たな装備を展開した。


 《共鳴装甲:ドリームライザーVer.2》


 ――音と共鳴し、感情を力に変える、進化型コスモギア。



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 ◆ クライマックスバトル:

 佐倉&ユウト vs 怪物ヌマクラ&労働契約兵


 ヌマクラの手から放たれるのは、過去のメールそのものが武器となった攻撃――

 「申し訳ありませんが、今回はご縁がなかったということで…」

 「能力的にマッチしなかったという結論です…」


 その言葉が、刃となって飛んでくる。


 だが佐倉はそれを“音”で遮る。


> ♪「その手を離さない/たとえ夢が砕けても」

 (DREAMS COME TRUE『LOVE LOVE LOVE』)




 幻律弦の旋律が、契約兵たちの中に残っていた“本来の夢”を呼び起こし、次々に中立化していく。


> 労働契約兵A「……俺、本当は教師になりたかった……」 労働契約兵B「……保育士目指してたんだ、俺……」




 そして、ついに佐倉の刃がヌマクラの中心に届く。


> 「あんたに“夢”を管理する資格はねえ――!」




 ドリームライザーの刃が、ヌマクラの胸を貫いた。



---


 ◆ 落下する怪物と、最後の言葉


 崩れ落ちるヌマクラの身体。

 その裂けた口から、わずかに微笑みが戻る。


> 「夢を……もう一度……見る資格……あるのか……」




 彼もまた、かつて“夢”を抱いた人間だったのかもしれない。



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 ◆ エピローグ:札幌へ帰還


 魔法の絨毯が再び空を裂き、佐倉とユウトを乗せて札幌へ帰る。


 静岡の空は、奇妙なほど静かだった。


> ユウト「……次はどこだ?」 佐倉「ドリカム社の本拠地。東京湾の人工島、《ZONE-0》」




 そこには、夢を操る最大の兵器、そして“佐倉自身の原型AI”が眠っているという。



---


🌀次回予告:


> 東京湾に浮かぶ禁断の研究施設ZONE-0

 そこに集う、最後の“夢の破壊者たち”。


 佐倉は己の“原型”と向き合い、

 そして、「夢とは何か」という問いに、

 最後の答えを出すことになる――。



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