第四風め

 三風め 後編

『わたしの彼になりなさいよ』

_―「好きって、思ったより静かだった」その気づきから始まる風_



Scene 1|夕暮れの道祖神めぐり・ふたりだけの時間


→ 下見で残った詩織となぎさのペア

→ 村道を歩く途中、ベンチに座って麦茶を飲む無言のふたり


詩織:「……ねえ。あたしだけ、なのかな」

詩織:「最近のなぎさって、“ずるい”って思えるくらい、好きなんだけど」


→ なぎさ、麦茶を口に含みながら、ほんのわずかに目線を向ける


詩織:「……って言っても、こういうのって反則?」

詩織:「どうせ気づかれてないし、って思ってたけど……もう言うよ」


→ 一拍置いて、風が鳴る

→ なぎさはその音に間に合わせるように、麦茶を置いた


詩織:「……わたしの彼になりなさいよ」


→ なぎさ、一瞬動きを止めて

→ 顔を見ずに、でも風の向こうから静かに返事をくれた


なぎさ:「……うん」


→ 涼しくなってきた夏の夕方

→ ふたりの距離が、音もなく結ばれた



Scene 2|翌日:静かに、変わっていくふたり


→ カフェ打ち合わせ中、詩織がなぎさの飲みかけを自然に飲む


陽:「えっ今の、いまのって、共有OKな関係⁉️」

つむぎ:「……詩織ちゃん、ちょっと距離近くない……?」


→ なぎさは特にリアクションせず、資料整理中

→ でも、ふたりの会話と動きが、明らかに“昨日までと違う”



Scene 3|ふたりの秘密


→ 詩織からのLINE:


_『ねえ、もうバレてると思うけど黙っとこ。笑』_


→ なぎさ:


_『うん。言う理由はないし、隠してるつもりもないけど』_


→ 詩織:


_『そーいうとこ、すきだわ』_


→ なぎさ:


_『そーいうとこ、で伝わるのすごいと思う』_


→ 誰にも見られてないふたりの風が、静かに吹いていた



Scene 4|そして、“その言葉”が漏れるとき


4人でマクド風トーク中


陽:「なぎさって、恋愛興味なさそ〜」

つむぎ:「詩織ちゃんは、大人っぽいよね〜」

詩織:「え〜? そうかな〜?」

なぎさ(何気なく):

**「この前、風鈴見上げて笑った顔……ちょっと子どもっぽくて、かわいかった」**


→ 詩織、飲んでたドリンクを一瞬吹き出す

→ 顔が真っ赤→机に顔伏せ


→ 陽とつむぎ、同時に:


「……あっ、付き合ってるわこれ」


→ 詩織:「しーーーっ!!!!💥💥💥」

→ なぎさ:「……いや、別に隠す理由ない」

→ 詩織:「それ言ってる時点でぜんぜん隠す気ないじゃん〜〜!!」

→ 4人、爆笑



Ending Monologue(つむぎ視点)


詩織ちゃんは、

ちゃんと誰かを見て、ちゃんと誰かに見られる人だったんだね。


なぎさくんも、

何も変わらないようで――

少しだけ、風の向きを覚えてる人だったんだ。


それが、恋って呼ばれるなら――

わたしも、きっと。いつかは。


**「……まさかね」**

でも、それが叶った風を見つけた朝に、

きっと笑えるような気がする。


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