第3話「君は俺の太陽さ。」
太陽と照れ隠し、そして触れ合い
「君は俺の太陽さ。」
彼の、どこからか聞こえてきそうな、ストレートすぎる言葉。普段なら、その言葉に胸をときめかせるはずの私だった。しかし、この雨の中、そして先ほどの「雨男」発言の余韻も手伝って、私は思わず吹き出した。
「うわっ、なにそれ!やめてよ!(笑)」
顔が熱くなるのを感じながら、私は言葉で抵抗する。だが、その「(笑)」が、私の本音を正直に物語っていた。恥ずかしいけれど、嬉しい。そんな、相反する感情が渦巻いている。
「バシ!」
思わず、彼の腕を軽く叩いた。これは、愛情表現としての「叩く」だ。本気で痛いわけでも、怒っているわけでもない。むしろ、この状況、この言葉、そしてこの相手だからこそ、できる行為だ。
彼の顔は、先ほどまでとは少し違う。私の「恥ずかしい」という反応に、満足げな、そして少し悪戯っぽい笑みが浮かんでいるように見えた。
「はは、やっぱり照れるな!でも、本当だぜ?」
彼は私の手のひらに、自分の手を重ねてきた。雨粒がさらに強くなっているような気がする。だが、その冷たさは、彼の手の温かさによって、もう感じられない。
「もう、からかわないでよ…」
それでも、私はまだ顔を赤らめながら、彼の胸に顔をうずめる。雨粒が、私たち二人の顔を優しく洗っていくようだった。
「からかってないさ。君がいるだけで、僕の世界は明るくなる。それは、太陽みたいに。」
彼の言葉に、私はさらに身を委ねた。雨音は、もはや私たちの誓いのBGMのように聞こえる。
「…ありがとう。」
小さな声でそう呟いた。照れくさいけれど、この言葉は、紛れもない本心だ。雨の中、彼という太陽に照らされて、私は確かに、世界が明るくなるのを感じていた。
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