第2話 豹変と混乱

目を開けるといつもと違う視界になっていた


ここは…


「嘉木!大丈夫か?!良かった目、覚めてくれて」


ここはどこだろうと考える間もなく入谷が話しかけてくる

そ、そうか、俺入谷の家にいたんだ

窓を見ると外は暗い。結構寝てしまったようだ


「って!今!何時?!」

「今はー、8時半だよ」

入谷が驚いた顔で答える


「ごめん!こんなに遅くなっちゃって、きっと親御さんにも迷惑かけちゃったよね!」


「え、えーっとね。今日は親出掛けてていないんだよ笑。一回言ったけどな!」


そうだ入谷の家に行く前に聞いた


「そうだった!笑ごめん」

「全然いいよ?俺今から飲みもん買ってくるけどなんかいるか?」

「リンゴジュースで。ありがとう」

入谷は少し顔が赤かった。この部屋暑かったのかな。


「ん?」


パッと目についたものがあった

「これなんだ?指輪か?」


そこにはきれいなジュエリーケースがあった。触ったらだめな雰囲気が出てたので見るだけにした。


「指輪の中に文字が刻まれてるなんだろ」


【m a s a t o,I】


「ぇえ!僕の名前が入ってる!「I 」?だから僕じゃないよな…誰だろ」


【ガチャ】


「嘉木〜?買ってきたよ」


階段を登る音が聞こえる


【ガチャ】


「い、入谷くん!」

入ってくると同時に話しかけた


「な、なんだよ?」


驚いた顔をした


「あの、その、この指輪!誰の?」


「あ…その指輪?!……、そのー」

入谷は動揺しすぎて目の焦点があってない


「入谷くん?」

「こっ!これはっ!!」


「じ、実は…その、か、嘉木のやつなんだ」

「ぇええ!!ぼ、僕の?!なんで?!」


信じられない

なぜ入谷が僕のを作ったのか


「そ、それは…、まだ言えないかも、、」

「無理は言わないけど…、どうしてか聞きたい」


入谷は顔を真っ赤にして言った

「その、俺は!!嘉木の…!嘉木誠人が!好きなんだよ、、、」


「え?」



「ごめん、俺ちょっと頭冷やしてくる」


【バタン】


「え?入谷くんが?僕のこと?好きなの?」

待ってもう、情報処理が…追いつかない



「それなら、僕も…、」


無理して言わせてしまった感が凄いある

「申し訳なかったかな…」


疲れていたのか僕は入谷のベッドでもう一度寝てしまった



―入谷side—

頭も冷え外も暗くなってきた

どんな顔して帰ろう…



【ガチャ】


取り返しのつかないことをしてしまった

あの時の嘉木の顔、……


申し訳ない…


それでも俺の理性は耐えることができず、寝ている嘉木にキスしてしまった


はぁ…はぁ…、


これで終わりにしよう。そう思って顔を遠ざけ部屋を出ていこうとする時、


【バタンッ!】


後ろからドアノブを押さえつけられ出ていけない


「はっ、!」


後ろを見ると嘉木が顔を赤らめて息が上がっている


はぁ、はぁ…、はぁ、


「い、入谷くん。僕に、何をしようとしたの?」


まずいこれは答えなければいけない。だか答える間もなく


【ドガンッ】


「ねぇ、教えてよ。入谷くん。理性に負けちゃったの?」


口を押さえられ苦しい、だけど

気持ちいい


「入谷くん?たってるよ?口、押さえつけられてコーフンしてんだ」


ど、どうしてだ、さっきまで気弱そうだった嘉木がこんなに攻めてくるなんて


「くっ、…嘉木っ!なんか…あったのか?」

嘉木はハッとしたような顔でバタンと倒れてしまった



―嘉木side―


『記録者 嘉木 誠人

もう外は真っ暗で外を歩いている人も少ない

酔っ払ったサラリーマンがヨロヨロで歩いている。

今日、久しぶりに夢を見た。僕が入谷くんの口を押さえつけて苦しそうにしている夢だった。                 』



「入谷くん?」

ここは入谷の家なのに入谷が見当たらない


【ガチャ】


ドアの空ける音がした

入谷は外に出ていたようだ


「入谷くん?」

僕がそう話しかけると入谷は驚いた顔で


「うわぁーーー!!」


と大声を出した。それにつられて僕もびっくりてしまった


「嘉木!?もう起きたのかよ驚かすなよ!」


入谷はビニール袋の中から買ってきた夜ご飯

やお菓子を取り出した。


しかしまだ一つ残ってるのに気がついた


「入谷くん?まだあと1個なんか入ってるよ?」


「こ、これは、…その、…」


何やら入谷は気まずそうにほのめかした


「何入ってるの?」

そう言って僕はビニール袋の中に入っている箱を取り出した


「嘉木、…それは…、、、」

「ご、ゴム、……」


凄く気まずい…どう返していいのか分からず


「だ、誰かと使うの…、?」

と言ってしまった。

とっさに自分が変な事を聞いてしまったと思い、顔が青ざめる


「だ、誰かと、…って…か、嘉木のせいだからね」


「え?」


入谷は顔を赤くして覚えてないのか?と言わんばかりの表情をしている


「も、もしかして…、僕…なんか入谷くんにしちゃった、…?」


「そうか、…覚えてないのかー…」


「ご、ごめん!…僕、夜になると、自分じゃない“僕”が出てくる気がするんだ…友達からも変な奴になるとか、」


昨日の夢みたいに、誰かを押さえつけて──それが現実になったらと思うと、怖い…


「は……」


入谷は返す言葉もなく、止まってしまった


「ごめんね、なんか修学旅行の時友達に言われたんだよ。『なんか嘉木、急に押し倒してきてキスされそうになった笑』って」


「嘉木…それ大丈夫だったか?」


「なにが?」


「多分嘉木…この時間帯になると……うん。とにかく、俺以外の奴と夜過ごさないで」


「う、うん。分かった」


なんかあったのだろうか、あんなに入谷くんが慌ててるところを見たことがない

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