入谷くんと嘉木くん
そた
第1話 出会いと信頼
『記録者 嘉木 誠人
6月23日雨。
今日も図書室でほとんどの時間を過ごした。
クラスの人で、あの時のいじめてきた相手に雰囲気がなんとなく似てる人がいる。
1週間前、転校してきた「入谷 優利」というらしい。
まだ転校してきて少ししか経ってないのにクラスの中心的存在になっている』
「はぁ〜疲れた…もう帰ろうかな…」
時計を見ると5時だ。
外では活発に動く野球部の姿や筋トレをしているサッカー部などが活動していた。
「あ、図書室まだ空いてんじゃん〜俺探してた本あるんだよね〜」
誰か入ってきた。しかも複数……
閉鎖的空間 複数人の陽キャ 他誰もいない
「はぁ…はぁ、はぁ」
やばい。過呼吸になってきた。落ち着け。大丈夫だから……
「俺今日部活オフだからゆっくり選ぼ〜」
「え〜まじかよ〜笑俺今日塾あるんだけど」
「まぁまぁ、早めに探そうぜ笑」
落ち着け…と言う度に落ち着けてない…対処
法が思いつかな……………
バタン!…
「え、何今の音。誰か倒れた?」
「おい!優利!こいつ大丈夫か?!」
「同じクラスの嘉木だ。早く保健室運ぶぞ」
「シュウ達は保健室の先生に伝えといてくれ」
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落ち着け…と言う度に落ち着けてない…対処法が思いつかな……………
目を開けるとと白い天井が見えた。
「あ、誠人くん。大丈夫?図書室で倒れちゃったらしいよ?あの子が運んでくれなかったら熱中症で危険だったよ?」
「え…誰が運んだんですか?」
先生はうーんと言って首を傾げる
「確か、同じクラスの入谷くんだったと思うよ?てっきり、一緒に図書室で話してると思ってたわ?違うの?」
い、入谷が?そんなのありえない…
「違います。僕あんまり入谷くんのこと好きじゃないので…」
「そうなの?まぁ、好きじゃなくてもお礼だけは言っときなよ?一応遠いのに運んでくれたんだから」
「はい、…」
失神してしまったという記録を取っておこう…
時刻は6時、母がいつも迎えに来てくれる時間だ。
【ピロン】
ん?なんだ?
『ちょっと仕事が立て込んでて、今日は迎えに行けない💦💦ごめんね🙏友達の家に泊まってもらってもいい?鍵持ってないでしょ』
最悪だ、僕に友達なんかいるわけないでしょ
『分かった。泊まって行くね』
そう返事だけして荷物を取りに教室へ戻る
はっ……!!
教室へ戻るとロッカーの上で寝ている入谷くんを見かけた
普段の様子とは裏腹にどこか哀愁も感じた
「い、入谷…くん?」
返事はない、完全に寝ているようだ
「き、今日はありがとう、運んでくれて」
寝ているのを良いことにお礼だけ伝えて荷物を取り出した
【ガタガタ】
「ん、…?はっ!!嘉木?!なんでいんの?」
入谷は目を擦り寝起きとは思えないほど目が開いていた
「え、そ、その…荷物を取りに来たら入谷くん寝てて…今日のお礼言わなきゃってなって…」
「まじかよ〜寝ちゃってたか〜って!今!何時?!」
「ろ、六時だけど…」
「え!!まじ!?やばいかも…置いてかれたわ…」
「な、何に置いてかれたの?」
「今日家族で旅行行く予定だったんだけど、六時までに帰ってこなきゃ置いてくって言われて…」
「ま、待ってくれてるんじゃない?流石に…」
ロッカーから降りてしゃがみこんでいる
「いや…待ってくれない…一回似たようなことあって、置いてかれた…」
気づけば手が入谷の頭を撫でていた。すぐに手をどけようとしたが入谷はその手をどかせれないよう掴んだ。
「嘉木、今日ヒマ?泊まりに来ねぇ?」
あまりの急な誘いに困惑してしまう
「い、いいよ。僕も今日どっかに泊まりに行く予定だったから」
六時なのに外はまだ明るい
「よし!ここが俺ん家よろしくな!」
入谷の家は立派で凄く大きく、流石だなと思った
「本当にいいの?」
「いいに決まってるだろ?!」
いじめっ子とは違うかもな…第一名前も違うし、雰囲気がなんとなく似てただけであって、、、
「どうした?考え事か?」
「いや、なんでもないよ。ちょっと家が広すぎてびっくりしちゃって、笑」
階段をゆっくり上がり、入谷の部屋に着く
「わぁ〜。すごいね。綺麗な部屋」
入谷はちょっと顔を赤らめながら
「べ、別に!母さんにいつも片付けろって言われてっから!」
少し動揺した様子を見せる
「そうなんだね」
「ってかさ誠人ってなんかトラウマとかあるのか?、って、聞いても!トラウマだから答えれないよな!すまん!」
「え…なんで僕にトラウマがあるってわかったの?」
「ん〜。なんとなく!運んだときにちょっと震えてたからかな…!」
「そっか、僕のトラウマ聞きたいの?」
少し試すようなことをしてしまった
「うん。少し気になる」
「もし倒れたら困らせちゃうからベットの上で喋ってもいい?」
「い、いいよ!」
入谷は少し動揺しながらも答えた
「分かった。す、少し長くなるよ」
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『これは僕が中学生の頃。
クラスの中心的存在の1番近くにいる時だった
ある日クラスの中心的存在"朱井 依月"から聞かれた
「嘉木、あんた"ゲイ"なのか?」
僕はどう返事していいかわからず
「分かんない」
依月は「やっぱりそうなんだ。俺はお前と一緒に居たくない。だから近づくなよ。気持ちが悪い…」
そう言われた
そこから黒板に僕がゲイってこと書かれ、依月の取り巻きの奴らからいじめを受けた
暗い空き教室で下校のチャイムが鳴るまで殴られたりとか………』
【ひゅーひゅーーはぁーはぁー】
「お、おい!嘉木!大丈夫か?!!」
暗くなる視界に入谷が心配そうに呼んでいる
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