第7話 閉ざされた世界の外側
山本は翔太が通った中学校を後にし、街のざわめきが戻る商店街へ足を運んだ。
彼の視線は、学校の静寂とは対照的な日常の喧騒の中にあった。
「翔太が学校だけで苦しんでいたとは限らない」
山本はそう自分に言い聞かせ、彼の周辺の人々の声を探り始めた。
地元の小さな喫茶店で話を聞くと、翔太が最近、ネット上で誹謗中傷を受けていたことがわかった。
「匿名の書き込みで、毎日のように悪口を書かれてたよ。学校でのいじめ以上に精神的に追い詰められていたかもしれない」
さらに、近所の居酒屋では、不良グループの存在が浮かび上がった。
「最近、翔太が不良たちに目をつけられていたって話だ。お金を貸せとか、つきまとわれてたらしい」
山本はその不良グループの情報を収集し、複数の証言から、彼らが翔太を威嚇し、精神的な圧力をかけていた可能性を強く感じた。
「学校だけでなく、外の世界でも彼は孤立していた」
彼の胸に、翔太の沈黙の声が一層重く響く。
山本は次に、不良グループの一員に直接会うことを決めた。
真実の断片は、いつも人が嫌がる場所にこそ隠されている。
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