第6話 仮面の裏側

放課後の教室は人影もまばらで、静寂が支配していた。

山本は生徒会長の村上を訪ねるため、ゆっくりと歩みを進めた。


ドアの前で軽くノックすると、数秒後にドアが開いた。

そこに立っていたのは、整った顔立ちの青年だった。鋭い目つきに、どこか冷徹さを感じさせる。


「君が村上か?」

山本は名乗り、話を切り出した。


村上は一瞬の間を置き、冷静な声で答えた。

「田中翔太の件か。私は何も知らない。彼は自分で選んだ道を歩んだだけだ」


その言葉に山本は眉をひそめる。表面だけの冷静さの裏に、何かを隠しているようだった。


「翔太君は最後に君と一緒にいたと聞いたが?」

山本は問い詰める。


村上は少し目を逸らしたが、すぐに口を開いた。

「確かに彼とは話をした。しかし、私は彼を傷つけていない。彼の死には、もっと複雑な事情があるはずだ」


山本はその言葉を胸に刻みながら、教室を後にした。


歩きながら彼は考えた。

「村上は表の顔と裏の顔を使い分けている。彼もまた、この事件の真実の一端を握っているはずだ」


そして山本は次の行動を決めた。

翔太の周囲の人間だけでなく、学校外の関係者にも目を向ける必要があると。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る