第6話 仮面の裏側
放課後の教室は人影もまばらで、静寂が支配していた。
山本は生徒会長の村上を訪ねるため、ゆっくりと歩みを進めた。
ドアの前で軽くノックすると、数秒後にドアが開いた。
そこに立っていたのは、整った顔立ちの青年だった。鋭い目つきに、どこか冷徹さを感じさせる。
「君が村上か?」
山本は名乗り、話を切り出した。
村上は一瞬の間を置き、冷静な声で答えた。
「田中翔太の件か。私は何も知らない。彼は自分で選んだ道を歩んだだけだ」
その言葉に山本は眉をひそめる。表面だけの冷静さの裏に、何かを隠しているようだった。
「翔太君は最後に君と一緒にいたと聞いたが?」
山本は問い詰める。
村上は少し目を逸らしたが、すぐに口を開いた。
「確かに彼とは話をした。しかし、私は彼を傷つけていない。彼の死には、もっと複雑な事情があるはずだ」
山本はその言葉を胸に刻みながら、教室を後にした。
歩きながら彼は考えた。
「村上は表の顔と裏の顔を使い分けている。彼もまた、この事件の真実の一端を握っているはずだ」
そして山本は次の行動を決めた。
翔太の周囲の人間だけでなく、学校外の関係者にも目を向ける必要があると。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます