第14話 僕が狙われた理由
「……医療関係の知識をレンタルした人たちに絞ったのは、品川の指示だったよ。」
取り調べでそう語った博士の言葉を聞いて、僕は息を呑んだ。
「……あいつは言ってた。
“人の知識を当てにして、努力もせずに医療従事者になろうなんて奴らは、命を軽く見ている”……って。」
その瞬間、僕は背筋が凍るのを感じた。
ハッとした。——まさに僕のことだったからだ。
自分の努力を信じきれず、借り物の知識にすがった僕。
そんな僕の脳に、チップは埋め込まれた。
……品川は、僕たちを“選んで”いた。
黒岩先生が重い声で言った。
「品川は、自分勝手な正義で人を裁いた。お前たちを“命を軽く見ている連中”と決めつけてな。……だがな、人の努力を測れるのは、本人だけだ。医療に向き合う姿勢は、誰かに裁かれるものじゃない。」
及川徹も静かに付け加えた。
「知識の手段はどうあれ、“命を救いたい”と願う心まで否定する資格はない。——品川は、自分の狂気に酔っていた。」
僕は唇を噛んだ。
確かに僕は、逃げていた。
努力不足だったかもしれない。
でも——命を軽く見ていたつもりはなかった。
助けたいと願っていた。
その想いまで、否定された気がして——
悔しかった。
「……絶対に許さない。」
その時、僕は初めて心の底からそう思った。
品川を——許してはいけない、と。
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