第7話 2度目の検査
その夜、僕はほとんど眠れなかった。
頭痛のせいだけじゃない。黒岩医師の言葉、脳に埋め込まれたマイクロチップ、そして謎の電波信号——考えれば考えるほど、答えの出ない不安に押し潰されそうだった。
朝になっても、疲労は抜けなかった。
重たい足取りで、再び日の入総合メディカルセンターを訪れると、黒岩医師の隣に、白衣姿の男が立っていた。
それが——及川徹だった。
テレビで見るよりも、静かな印象の人物だった。だが、目だけは鋭い。僕を見るなり、及川は静かに言った。
「……君は、少し眠ったほうがいい。目の下にクマができている。寝不足だろう? 無理もないさ。脳にこんなものが埋め込まれていたら、不安でたまらないはずだからな。」
及川はそう言って、穏やかに微笑んだ。
「今から麻酔を使って検査する。君は眠っている間に済ませるから、心配はいらない。起きたときには、全て終わっている。」
その言葉に、少しだけ肩の力が抜けた。
誰かに預けてもいいのかもしれない——そう思えた。
僕は目を閉じた。
——このまま目が覚めなかったらどうしよう、という不安を抱えながら。
けれど、眠気はすぐに勝っていった。
気づけば僕は、深い眠りに落ちていた。
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