第5話 検査結果
3日後——僕は、再び日の入総合メディカルセンターを訪れた。
CTとMRIの検査は淡々と進められた。大きな機械音と眩しいライト。検査中、僕は不安と恐怖に押しつぶされそうだった。もし脳に異常が見つかったら。もう元に戻れないのではないかと。
検査が終わり、待機室でしばらく待たされた後、再び黒岩医師の前に座ることになった。
黒岩はモニターの画面を僕に示した。
「……これが君の脳の断面図だ。問題はここだ。」
画面に映し出された画像には、白く不自然な影が映っていた。僕は息を飲んだ。
それは腫瘍ではなかった。黒岩の説明は、想像の斜め上を行くものだった。
「君の脳に埋め込まれていたのは、マイクロチップだ。サイズは約2ミリ。普通の医師なら見逃す。……いや、見ても“ノイズ”と思うだろうな。」
「……チップ?」
黒岩はうなずいた。
「ブレインレンタルサービス——君が受けた“知識の貸与”の実態は、脳にこのマイクロチップを埋め込み、外部から専門知識のデータを直接送り込む仕組みだったんだ。つまり、君たちは一時的に、機械と接続されていた。」
言葉が出なかった。
黒岩は静かに続けた。
「頭痛は、そのチップからの信号が止まらず、脳が過剰な情報伝達に晒され続けているせいだろう。……おそらく、取り外さない限り、治らない。」
僕は震える声で聞いた。
「……ノーレッジは、それを知ってるんですか?」
黒岩は目を伏せたまま、短く答えた。
「当然、知っている。……そして“隠している”。」
僕は、その瞬間、自分が“レンタルされた”のではなく“利用された”のだと気づいた。
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