第3話 入院中

昔はよく扁桃腺が腫れて熱が出る子供だった

完全体の時のほうが少ない

近所の子供は駆けずり回って遊んでいるのに


私小学1年生 妹幼稚園

入院して"アデノイド"と言うものを

切るらしい

昔だからなのか実に原始的な方法だ

(今は知らないが)


輪っかのような器具で患部を挟み切り

血を飲まないよう うがい

しばらくは唾 痰は自主的にペッペッ


意識あるまま口から大量の血が出るのを見て

私は血が怖くなった

トラウマなるわな アレは


それでも唾に血が混じるのが少なくなって

くるとホッとした


トイレ行きたいなぁ…

付き添いのばーちゃんは寝ている


1人で行くか…


静かに点滴を持ち廊下に出る

子供病棟は静まり返っていた

廊下の突き当たりにトイレがある

そのまままっすぐ歩く


ふとトイレの方からお婆さんが歩いてくる

うち以外に付き添いお婆ちゃんいるんだと

すれ違いざま会釈する

ちらっとこっちを見 会釈を返してくれた


どこの病室だろう?

ふと思い振り向く




もういない…?




どっかその辺の病室か?とそのままトイレへ


戻る時にさっきの周辺の病室を見る

名前がない この部屋患者がいない


「…?」

眠すぎて場所違いか

そもそもお婆さんが居たことが寝ぼけたのか




無言で戻ると看護師さんとばあちゃんが

慌てて

妹の首に巻き付いた点滴を外していた

その時の私にはそっちがホラーだった

第3話完

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