能天気な冒険者

 私は能天気な冒険者。


 ここは冒険者ギルド。冒険者達が集まる場所で、人探しや情報収集には、冒険者になるのが一番いい。


「すみません、依頼を受けたいんですけど、一人だと不安で」

「でしたら……」


  私のお願いを受け、受け付けのお姉さんは、一つのパーティーに声を掛けた。


「ジャックさん!」

「どうした?」


 名前を呼ばれたジャックさん?と、他2人がこちらへ歩いてくる。


「依頼なんですけど、彼女を連れて行ってもらえないでしょうか?」

「別に構わないぜ!俺の名前はジャックこのパーティーのリーダーをしている、よろしくな」

「はい、よろしくお願いします」


 何処の誰とも知らない私を、彼らはすんなりと、受け入れてくれる。


「私はルーラ、よろしくね」

「俺はライト!よろしく!」


  盾、剣士、魔法使いの3人で構成されているパーティーらしい。


「敬語とかいらねーからよ、気楽に行こうぜ!」


 ライトが親指を立て、ウインクしている。


「わかった、よろしくライト」


 ゴブリン討伐。初めての実戦だ、ジャックが盾でガードして隙を作る、ルーラは後ろから魔法での支援と攻撃、そして、私とライトは剣での攻撃。


 意外と相性がいいのか、初めてとは思えないくらい連携が取れていた。


「いいじゃねーか」

「私、天才かもしれない」


 ジャックに褒められ、天才かもしれないと口にする。


「普通、自分で言うか?」

「ライトが言ってくれないからじゃん」


 こうやって、軽口を叩けるようになるのも早かった。


 気づけば、一緒に依頼をこなし始めて、一カ月が経とうとしていた。


 いつもの様に、依頼終わりに酒場で盛り上がっていると。


「女の子はやっぱり、胸だろ!」


 ライトが急に変なことを言い出す。目の前に巨乳の女性がいた事が原因だろう。


「おいジャック、女性もいるんだ急に変なことを言い出すな」


 ジャックは怒るが、私はライトの言葉に反応する。


「そうだよライト、女は胸じゃなくて顔でしょ!」

「は?いやいや、それは最低だろ」

「胸の方が最低でしょ」


 何故かライトと私の、最低な論争が始まる。


「2人とも辞めろ!」


 ジャックの怒りの鉄槌が、2人の頭を強打する。


「「ごめんなさい」」


 2人で頭にたんこぶをつくりながら、頭を下げた。


 これもいつも通りの日常。


「そう言えば、聞いたか?」


 隣の席で飲んでいる二人組の会話が耳に入ってくる。


「また、勇者召喚したらしいぜ」

「また?一つの国で一回のはずだろ?何回目だよ」

「三回目だってよ」

「頑張るね〜」


 勇者召喚……


 もう何処か遠い記憶なきがする。


「でも、ついに現れたらしいぜ」

「現れたって?」

「勇者だよ!」

「マジで?!」


 この職業欄が勇者の人を探していたんだろう、だが、たぶん、あのローブを着てお爺さんは知らない、職業だけじゃないことを。


 《特殊スキル》


 神の目…相手を見れば、その人の全てがわかる


 私のこの迷惑な能力は、特殊スキルだったということだ。見たくも無いものまで見えてしまうのが難点だけど。


 あの一緒に召喚された詐欺師の男も、特殊スキルを持っていたのだろう。何処で何をしているのかわからないが、もう、会うことは無いと思いたい。


「そう言えば、この依頼受けようと思うんだけど、2人はどう思う?」


 ジャックが一枚の紙を机の上に置く。


「遺品回収って、結構難しそうじゃないっすか?」


 依頼内容を見てライトが言う。


「まあ、今回は洞窟だからな、中で何か起こった時に、簡単には逃げられない分、少し難しそうではあるが、今の俺たちなら大丈夫、いけるさ」

「そうそう、いけるいける、なんとかなるって」


 ジャックの言葉に、私が能天気に続く。


「でたよ、ユウの根拠のない能天気発言、本気で言ってんのかよ」


 ライトが呆れたような声で言う。


 なんとかなるさ……そうじゃなきゃいけないんだから……


「本気だよ〜じゃなきゃ言わないって」

「まあ、ユウはともかく、ジャックさんが言うなら大丈夫なんでしょうけど」

「私は!?」


 ライトの言葉に少し大袈裟に叫ぶ。


「ユウはなんでも、大丈夫って言うだろが」

「え~じゃあ駄目かも今日はもう歩けないかもしれないから、帰りはおぶって」

「そういうことじゃねえよ!」


 いつもの様にライトのツッコミでひと笑いする。


「まあ、そんな事より、この依頼は受けるってことでいいな?」

「私は、いいと思うわよ」


 ジャックとルーラが賛成なら、もう決まりだ。


 次の日、洞窟の前――


「よし、それじゃあ、洞窟に入るが、危険だと思ったら直ぐに引き返すように」


 ジャックを先頭に洞窟へと、入っていく。


 中は暗いが、まったく見えないという程ではない。


 しばらく歩くと、開けた場所に出る。


 中央に4人の死体と荷物が転がっていた。


 また、見たくもない物が、私の中へと流れ込む。


「あれか……」


 私以外の3人が中央へ歩き出す。


 私はその場に留まる、だって――


「伏せろ!」


 ジャックの声が響き、3人は地面へ伏せる。


 隠れていた、敵の攻撃だ。

 

 もちろん、遺体の記憶を見たときから、いたのは気づいていた、なぜ言わなかったのか、そんなの決まっている――


 私が生きていればいい……


「おい!みんな無事か!」


 ジャックが叫ぶ。


 岩陰から、人間とも言い切れない、怪しげな声が聞こえてくる。


「おやおや、新しい獲物のようですね」


 




 


 




 


 









 

 

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