キメラゴブリンを斬り伏せる大金槌《クラッシャーハンマー》――②

 後日、工房を訪れてくれたイチコさんの表情には、数日前とは比にならない深刻の煩悶はんもんが浮いていた。


 工房に招いて、ボクたちそろって席に着くと、イチコさんは気の重い口を開き、語り始めた。


「またこの村の周辺で、【幻獣遭遇ディザスター】がりました。

 今度も商人の一団が襲われて、今度は一人が生き残った。


 命からがら逃げのびた商人団の一人が言うには、遭遇した幻獣アビシアンは、竜のつめキバを持った――の【キメラゴブリン】であったというの。


 ――即座に幻獣対策協会セイバーギルドによる処理が試みられたのだけれど……討伐者セイバーの討伐隊は、全滅してしまったわ。死傷者は幸い、なかったけれど、二名が重傷……一名が戦闘不能状態で逃げのびた。…………私のお店まで、瀕死ひんしの傷だらけで……。


 この結果を重く見た幻獣対策協会セイバーギルドは、高位の討伐者セイバーを派遣する構えであるみたいだけど、話の通り、【キメラゴブリン】は前回よりもはるかにこの村へ近づいている。また、運送業者のいくつかは、評判に傷が付くことを嫌って、輸送ルートを変えてこの村へも商業を続けようとしているの。時間がない……。


 ――――【リョウガ鍛錬所たんれんじょ】に依頼です、【キメラゴブリン】を倒せる武器の製作、及び【キメラゴブリン】の討伐を御頼おたのみします。報酬は武器の制作に必要な素材を前払い、そして幻獣対策協会セイバーギルドの対価に基づく村からの報奨金です」


 イチコドールさんの話を聞き終えて。


 ボクは力をみなぎらせて、モニカはんで、を置かず、ボクたちは話に対するこたえを声にした。



「「【リョウガ鍛錬所たんれんじょ】が承りますッ!!」」



 ――――依頼を受注。


【キメラゴブリン】を討伐せしめる武器。及び、【キメラゴブリン】の討伐。



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