第2話 村長の家へ
行商人さんが教えてくれた新種の
わたしは青ざめた。
「お嬢さん、新種の魔物の名前を知ってるの?」
行商人さんの問いに
「はい。もしかしたらそうかも、と思うのがいて。
もっと詳しいお話を聞かせてもらえませんか?」
と行商人さんから新種の魔物のことを根掘り葉掘り聞く。
曰く、アンデッド系に似ているけれど実際の人間の死体が動いている。
曰く、新種の魔物に襲われたら同じように新種の魔物になってしまう。
曰く、生前の記憶や知性があるように感じられない。
曰く、動きは遅い。
曰く、狂暴。
などなど、特徴がどう考えてもゾンビです。本当にありがとうございました。
暇だの退屈だの娯楽が欲しいなどと贅沢を言ったので罰が当たったのでしょうか。
村の危機。世界の危機。命の危機です。
走らないゾンビ。
目撃されたのは村からかなり離れた場所だけど、感染増殖するから油断できない。
すぐに対策をとらなければ。
わたしが持っているゾンビの知識をその場にいた人たちに簡単に情報共有して、行商人さんの腕をつかむ。
「一刻を争う緊急事態です。一緒に来てください!」
行商人さんの腕をつかんだまま村長のところへ走った。
息を切らせながら村長の家に着いたわたしと行商人さんは、出迎えてくれた村長の奥さんから水をもらい一息つく。
村長は在宅していて、村長の息子でわたしの幼なじみのアベルもいた。
わたしは村長に緊急事態を告げて、行商人さんにまた新種の魔物の話をしてもらった。
それから、わたしが知るゾンビの知識や対処法などを話した。
「ビアンカはなんでそんなこと知ってるの?」
アベルの疑問はもっともです。
「両親から聞いたことがあったの」
とシレっと嘘をついた。
まさか前世の映画やマンガの知識だとは言えないからね。
とにかく、ゾンビが目撃された場所が村からまだ遠いうちに村を柵で囲ってしまいましょうと提案。
頑丈な柵があればゾンビも入ってこられまい。
もしも柵が間に合わない場合は、丈夫な柵で囲ってあって広い敷地の男爵の邸に避難することにしようとはアベルの案。
「柵を作るなら人手がいるな」「木材はどうしようか」など意見を出し合う。行商人さんも商売人の目をして積極的に意見を出してくれる。
「柵を作るにしろ、避難するにしろ男爵の許可は必要だろう」
ならばと、村長が男爵邸に話をつけに行こうとしたところで村長宅の扉を激しく叩く音がして、転がり込んで来たのは……。
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