第8話 国民的TV番組出演。REAL、予定調和を破壊!
《REAL experience 国民的音楽番組出場編》
【麺屋やよい・いつものちゃぶ台】
いつものラーメン屋、いつものちゃぶ台。
「ラーメン麺屋やよい」。
看板娘のやよいさんは、今やREALのマネージャー兼、精神的支柱だ。
ミサキ「やよいさーん、餃子ダブルね〜!」
弥生「はいよっ!」
ミサキの主食は、麺屋やよいの餃子。
ハジメは、いつものラーメンライス。
ユウジは、餃子にコーラフロートを追加。
ミサキ「またそれ〜?コーラにアイスとか……あんた小学生の誕生会かね?」
ユウジ「いーじゃん、祝いだ祝い。テンション上げとこーぜ!」
そのとき。
カナメが暖簾をくぐり、ケツポケからくしゃくしゃの封筒を取り出して言った。
「おい、ニュースだ。……オレたち、年忘れ音楽合戦・HMK歌鏡から出演依頼きてるぞ!!」
一同フリーズ。
ここ静岡では、“年忘れ音楽合戦・HMK歌鏡”の視聴率は今も60%超え。
時代は令和でも、年忘れ音楽合戦はまだ“年末の神様”だった。
ユウジ「……なんか、これで母ちゃん孝行できるかもな……」
ぽろっと涙ぐむ。
カナメ「……あんまり気は乗らんけど、ユウジの親孝行のために、出るか」
ユウジ「うぅっ……ゆ、友情……っ」😭
ミサキ「でもさ、うちら……あの演歌歌手の後ろで、出演者一同で手拍子ってヤツ、やるの?」
ハジメ「予定調和を破壊するチャンスだぜ」
⸻
【やよい亭・年忘れ音楽合戦出場会議】
ちゃぶ台にドーンと広げられた、年忘れ音楽合戦の台本。
弥生さんが湯切りしながらチラ見する。
やよい「“一同、演歌に合わせて優しく手拍子”……REALにはちょっと無理があるわねぇ」
ハジメ「“優しく”って指示が一番腹立つんだよな。音楽に性格求めんな」
ユウジ「でもさ、母ちゃん言うんだよ……“三波春夫の魂がこもってない年忘れ音楽合戦なんて、納豆のない冷やし中華”って」
カナメ 「例えのクセが強すぎるんよ」
⸻
【プロデューサー登場】
そこへ現れた、HMKのプロデューサー・宗方(むなかた)P(63)。
宗方「REAL experienceさんですね!?いま話題沸騰中!まさに“令和の鼓動”!」
ミサキ「はい、“耳かっぽじって聴け”でおなじみ、REALです」
宗方「今回はですねぇ……演歌界の大御所・大沼長次郎さんとの共演でして……その後ろでちょっと手拍子を……」
ハジメ「俺たちが……長次郎の“肝臓ブルース”のバックで……?」
宗方「そう!“肝臓ブルース〜飲みすぎた人生に乾杯〜”、感動の大トリ!」
ユウジ「……母ちゃん……(天を仰ぐ)」
⸻
【リハーサル・地獄編】
HMKホール、リハーサル当日。
舞台袖に並ぶREALと、大沼長次郎(78)。
白スーツにサングラス、ポケットから栄養ドリンク。
長次郎「おう、若造ども!後ろでリズム乱すなよ。“肝臓”はリズム命じゃけん!」
カナメ(小声)「肝臓が命……?」
ミサキ「てかこの曲、途中で三拍子に変わるんだけど……手拍子、ムリあるくね?」
ハジメ「よし、逆手にとってポリリズムで攻めよう」
宗方P「やめてください(即答)」
⸻
🌟【本番当日・リアルブチかまし】
年忘れ音楽合戦いよいよ大トリ前。
実況「さあ、いよいよラスト!“肝臓ブルース”、演歌界の神・大沼長次郎さんと、REAL experienceの奇跡の共演です!」
ステージ後方、REALメンバーが静かに立つ。
ミサキ、ハンドマイクを持ち、ささやく。
ミサキ「今夜、REAL experienceは……予定調和を、破壊します」
🎶~♪「おらの肝臓〜 まだ動く〜」🎶
カナメ:ドラムでガチビートを刻む
ユウジ:空中ジャンプからベーススラップ
ミサキ:マイクスタンドで風を斬る
ハジメ:ギターを頭上に掲げ、タメにタメて――振り下ろす!
コードE7♭9! ワウ全開のジミヘントーン!
長次郎:ズコーーッ!! 爆音に腰を抜かす!
宗方P:後ろで白目。
客席:どよめきと拍手が交差。空気が……変わった。
⸻
【エンディング・麺屋やよい】
放送後、麺屋やよいのこたつに入って、年忘れ音楽合戦録画を観るREALメンバーたち。
ユウジ「……母ちゃんからLINEきた。“なんか、あんた変な手拍子しとったね”って」
ミサキ「それ、褒めてんの?怒ってんの?(笑)」
カナメ「でもさ、ちゃんと伝わったんじゃね? “REALな親孝行”」
ハジメ「……あれが、俺たちの手拍子だよ」
やよい「ほら、餃子ダブルできたよ。お祝いにチャーハン大盛り、サービスね」
ユウジ「……ううっ……俺、餃子で泣いたの初めてだ……」
⸻
🎉To Be Continued…
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