第48話 ドストエフスキー4
毎週発作に見舞われ…四日間死んで、三日間生き返った。「発作の前触れ」は…強い憂愁…「父からの解放」だった。…恍惚…と、清澄…が現れる…。発作が起こり始め…「意識」の混濁が起き…「死の淵」へ沈みこむ…。「罪悪感のなせる業」だった。
…激しい苦痛に苛まれる…本音では許したい…。けど未だに父を激しく憎み、嫌っている…。発作のたびに、破滅感に襲われた。見苦しい自分への…自己嫌悪に囚われ…「意識」を失い「耐え難い悩ましさ」を潜り抜け、地獄を見た。恐怖を味わう…哀れな自分がいた。
ドストエフスキーの中では、毎週一度死んでいた。癲癇発作は
『これから先、どうなるのだろう…』
不安を呼び起こした。
『どうにも救われない』
…人格分裂の恐怖…不快極まりない苦痛を伴っていた。発作の後、欝(うつ)と妄想に襲われ、情緒不安定になった。強い厭世感…発狂しそうな予感…その恐怖に苛まれた。
自殺願望がふつふつと湧き上がってくる。発作が起きる度「霊魂の不滅」について考えた。その発作は「不滅」の証だった。肉体の甦りを実体験していた。だから
『人は死んだらどうなるのか』
と問いつづけた。その答えがどうしても欲しい。
そこで神にすがった。
『宗教の真理とは、なにか』
と問う。
『神は死後の生』
と解いた。
それは「復活」を意味していた。
「復活は永生」であり「神は永生」だった。「霊魂の不滅」は「神」の存在を「証明」していた。ドストエフスキーは、人間の「魂」の秘密を解こうとしていた。
癲癇発作によって、苦悩と歓喜の連続を毎週体験した。
生(せい)の世界が、不思議な光に包まれて訪れる。生命の歓びと、甦りの体験の連続だった。生の光の世界への帰還は「魂」の「光の世界」への帰還に通じていた。
ドストエフスキーはすべての宇宙が調和することと、神と、永遠を求めつづけた。
『全人類が争うことなく和合する』
ことを熱く説いた。やがて
『すべての人類が一体化する』
と考えていた。
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