第20話 踏切 4

マイナス感情は、不幸を人のせいにし他人や社会、運命を呪う人のことをいうらしい。

『めちゃめちゃあてはまっている』

ぼくのはなんだろう。一つだけ思いあたった。咬みつき亀を嫌ってさけていた。

それがいけなかった。差別につながったのだ。原因の一つに気がついた。


『佳奈だったんだ』

別に佳奈が死にそうになったわけではない。

誰にきいても佳奈がひどい。だけど死にかけたのは純であって佳奈ではない。


純が先に罰せられてしまった。

『そんなバカな。筋が違う』

いつかは佳奈も罰せられると思う。それが今世なのか、来世なのかはわからない。

今は変でも、いつかはきっと必ず佳奈もつけを払わされる。絶対に。


『どうして、なぜ佳奈じゃなくて、ぼくが先なんじゃろ』

恨みがましく、純はぶーたれた。

『なんで』

心の中で思いっきし叫んだ。


99%悪い人がいても、

『それが佳奈』

残りの1%ぼくが悪かったから、先に罰せられてしまった。

『誰に罰せられたのだろう』

信じられない。だけどそれが真実だった。


『この世を創った存在はずいぶん無体(むたい)なことをする』

ひとこと文句をいいたかった。

もしかしたら過去世でぼくが佳奈をいじめていたのかもしれない。


今世ぼくがつけを払わされているのだろうか。その可能性はある。

バランスシートという言葉がうかんだ。

佳奈を責める醜(みにく)い心がぼくにあるから悪霊に憑りつかれた。

そう考えれば納得がいく。


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