辰美神

車に乗ってから3時間経ったのにまだ移動するのー??てか尾瀬さんいるじゃん

横がこのおじさんとかストレスなんだけど、どうせなら尾瀬さんの隣がよかった

「尾瀬さーん??」

「…」

「喋ってよー」

「だからこの旅は優華ちゃんと僕の愛の旅行なんだよ??拓実くんじゃなくて僕と話そうよ」

ウザ

「ロリコンが喋らないで」

「ひどくない!?」

「実際そうでしょ?」

「それが違うだなー?」

犯罪者ってなんでこんなに犯罪者なのかな?

「ムカつくからもう喋んないで」

てかなんでこの人ずっとテンション高いの?

「今から行く場所知りたい??」

なにこの勿体ぶってんの?キモ

「別にいい」

「今から秋田県の田沢湖に行くよー」

え?なんで?秋田?なんで田沢湖?

「聞いてないんだけど」

「それよりー尾瀬さん引き返して早く家戻りたいよー」

「…」


やっぱ答えてくんないかー

しょうがない聞くだけ聞くかー

「分かった話は聞くから」

「やっとその気になったかー!お兄さん嬉しい」


なんでこの人ずっとキモイの

「だけどその代わり話聞いたら尾瀬さんに引き返してもらって」

「いいよー!」

「昔昔とある村に辰子という女の子がいましたその女の子はとても優しくとても綺麗でみんなに好かれ慕われる人気者でした、しかしある日辰子が鏡を見ると顔に一本シワができてしまいました。辰子は自分の顔に誇りを持ってたので、半狂乱になるほど心を乱しました、ですがそのような姿を初めて見た村人たちは辰子の醜さまでも美しいと思い狂信者と成り果ててしまいました。一人の村人が辰子姫をあの美貌のまま後世に継ごうという非人道的な誘いをしました。ですがその意見は辰子の家族までもが反対しませんでした。そして事件当日辰子は村長の還暦パーティに呼ばれました。還暦パーティで舞を踊ることになりました。舞はとても綺麗で龍が舞っているようでした。そして疲れた辰子に村の娘が一杯の水を渡しました。辰子はその一杯を飲んだ直後潤ったと思った喉が余計に乾き同じ水をまた飲み喉が乾き、遂に水が切れてしまい辰子は痺れを切らし近くの原泉まで足を運び飲みました、ですが一向に喉が潤うことがなく腹が水で膨れた感覚だけが残りました。そして気づいたらいつの間にか意識が落ちその場で寝ていました。目が覚めるとそこに手足はなく代わりに視界に映ったのは髭と鱗がありました。そして周りは湖と化していましたそして村があった場所まで戻ってみると人と同じくらいのサイズの鱒がわんさか溢れていました。これが田沢湖の伝説だよ」

なが!!華のjcにそんな重たい話させんなよ

「へー、でそれがどうしたの?」

「その龍は舞を踊らなかったことに未練があるらしくてね舞を踊ると逆鱗が落ちるらしくてその逆鱗を食べると神経が敏感になるらしくてそれで優華ちゃんの五感が戻るかなって」

「本当に戻るの?」

「多分」

そこは確証してくれ

「とりあえず龍の舞をしてもらおう」

「え?どうやって?」

「そりゃ優華ちゃんの得意なピアノだよ」

「え?きも」

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聴覚しかない私 @Yu-ta-i-k

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