第8話 違和感の深まり
しかし、システムのリセット後も、事態は改善されないどころか、日々エスカレートしていった。かつては生活を最大限に助けてくれるはずだった「メイリン」が、完全に沈黙したままだったり、逆に応答のないはずのときに奇妙な機械音を発したりする。
由衣は一人きりの夜、リビングの暗闇でスマートスピーカーの光がふと点滅するのを目撃した。それは、まるで誰かがこちらを見ているような、不気味な印象を抱かせた。
そして奇妙な出来事の頻度が増え始めた頃から、彼女はどこか「家」が息をしているような感覚を覚えるようになった。冷蔵庫や洗濯機が静かに動き続けている空間で、家そのものが彼女を観察している――そんな漠然とした恐怖が由衣の日常にじわじわと迫っていた。
この家で起きていることは、単なる技術の不調ではない。けれども、その正体が何なのか、由衣はまだ知る由もなかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。