第7話 助けられた?
「お待たせしました、ジェニファー様」
「おお、フューズ。帰ってきたか」
ジェニファーはニッと笑うと、帰ってきたフューズを見る。
「助けられた?」
「もちろんです。僕が茜を助けるのをミスするわけがない。」
「ふっ。そうかい」
フューズが得意げに言う様子を見てジェニファーはほっと息をつく。
「いや~、やっぱ君は走るのが早いね。陸上やれるんじゃない?」
「陸上なんてもってのほかです。とりあえず、少しの間はここで働かなければいけないと思うので。あと~、5年ですか?」
「5年か~短いね」
「人間だったら長いって言いますよ」
フューズは神は時間感覚がおかしいと改めて認識する。
――ジェニファーは確か320年生きてるんだっけ
フューズは苦笑し、本を手に取る。
「茜の本、全然光ってませんね。よかった」
フューズは口角を上げ、ジェニファーを見る。
「どうしたんですか、ジェニファー様」
「いや、君が微笑んでるのを久しぶりに見た気がしてね」
フューズはえっと声を漏らす。自分が微笑んでることに今気づいたのだった。そして、フッと笑った。
「ジェニファー様、僕、二か月に一回は帰省してもいいですか?」
「確かに、それはいいかもしれないね。OK!」
思ったより上機嫌で許してくれたジェニファー。
「梨位万田の茶を入れてくれないか」
「一日一杯ですけど、もう飲むんですか?」
「うっ……。うん、飲もっかな」
フューズはテテテと調理場に向かう。
フューズはそっと長沢茜の本を見る。
そして、ページをめぐって文字を追う。
しみじみと本を読むフューズを見て、自分もしみじみした気分になるジェニファーだった。
そしてそっと梨位万田の茶を飲む。
ココで梨位万田の茶の説明をしておこう(遅いわっ!!)
梨位万田とは、日本にある絶滅危惧種の木だ。
地球には数本しかない木だが、天界ではたくさん育っている。
その梨位万田の木の葉を煎じると、おいしいお茶ができ、しかも薬にもなるのだ。何にでも効く特効薬である。
ただ薬なだけ副作用があり、飲みすぎると毒にもなりうる。
「くぅ~~~っ!美味かな美味かな」
急に喋り方が変わるジェニファー。
「ジェニファー様、一人でボケてないで、仕事してください?」
「はいはい、わかったよ。でも今日は全然光ってないじゃないか。」
「ま、そうですけどね……。ジェニファー様、今回の件は大変だったでしょ。少し、休みますか?」
「あいえっ!?」
ジェニファーが変な声を上げる。
「ええええ、休む?君がそんなことを言うなんて……」
「じゃ、休みナシで」
「ああああ、ダメダメ。休もうよお。よし、今日から1か月の休養」
「長いです!せめて1週間」
「……は~い」
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