第3話 松尾芭蕉

最後は芭蕉です。出ました、ビッグネーム!!私などが芭蕉を語るのは恐れ多いのですが、お許しを……!!



山路きてなにやらゆかしすみれ草


山路を歩いてきたら、すみれが咲いていた。なんだか心がひかれるな。と言った感じの訳でしょうか?結句に小さな紫のすみれが現れます。旅の途中、芭蕉がホッとしたひと時の句です。特別な場所の特別な物を詠んだわけではありません。平凡とも言える事柄をさりげなく句に出来るところが俳聖ですね〜。



閑さや岩にしみ入る蝉の声


有名です。何蝉が鳴いているのでしょう?ひぐらしと、しずかさはぴったり合います。岩にしみ入りそうですね。でも、つき過ぎでしょうか?ツクツクボウシはどうでしょう?せわしないかなぁ。熊蝉は東日本ににこの頃居なさそうだし、みんみん蝉はうるさすぎるしな……。ジーっと耳鳴りみたいな蝉あたりですかね。(何蝉?)



夏草や兵どもが夢の跡


これも有名です。〇〇の戦いとか☓☓の変のあった場所を訪れて詠んだ一句。ツワモノたちは夢や野望をいだいて闘ったことでしょう。負けたものは其処で夢破れ、勝ったものも今はいません。ただ夏草がぼうぼうと生えているだけです。無常を感じる俳句です。



おもしろうてやがて悲しき鵜舟かな


鵜舟は鵜飼の舟のことで、夏の季語です。鵜飼は、鵜匠が訓練した鵜に魚を獲らせる漁です。長良川で夜、篝火を焚きながらの漁をテレビ中継していました。珍しい漁なので面白いのですが、だんだん悲しくなってしまいます。鮎を飲み込めず、強制的に吐かなければならない鵜。鵜に捕らえられた鮎。なんだか残酷な光景かも知れません……。



荒海や佐渡によこたふ天の川


芭蕉の句の中で私はこれが一番好きです。荒れた秋の暗い海。向こうは佐渡ヶ島です。雲ひとつない空には、天の川が横たわっています。広ーい景ですね。そして江戸時代に詠まれたとは思えないほど新しい。有名だから芭蕉の句だと認識しますが、無名だったら今の俳人が作った句かと間違えそうです。普遍的なんですよね。これから何百年経っても芭蕉の句は残ると思います。



旅に病んで夢は枯野をかけ廻る


俳人は借りの姿で、実はスパイだったと噂のある芭蕉。そうだったとしても、彼の俳句がそれ以降の俳諧に与えた影響破は計り知れません。人生の旅の途中で倒れてしまった芭蕉の夢は、枯野を今でもかけ廻っているような気がします。今私達が俳句を楽しめるのは芭蕉のお陰だと言っても過言ではありません。ありがとう松尾芭蕉!!






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私の好きな俳句 遠山ゆりえ @liliana401

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