運命と夜
その日、彼こと
そこで彼は飛び起きた。全身から汗が出ていた。とても夢とは思えないほどリアルだった。彼は心がざわつき、まだ夜だがどこかじっとしていられない気分だった。「とりあえず散歩でもするか...」彼はアパートのドアを開け、外へ出て夜道を歩き始めた。すると自分がどこかへ向けて駆け出していることに気づいた。「なぜだろう?俺は無意識に行きたいところでもあるのか?」大通りを曲がり、人気のない路地に駆け込こんだ、次の瞬間だった。
赤い閃光と共に目の前のゴミ箱がバラバラに壊れ、吹っ飛ぶ。彼はとっさに伏せる。すると髪一部が切られて舞い上がり、頬に血がかかった。彼が恐る恐る見上げるとそこには
全身を棘か槍のような物で貫かれ、血を滴らせた死体があった。彼は驚きのあまり声も出なかった。死体の腕から崩れかかった血塗れの腕輪が落ちる。彼がとっさに掴むと「ッ痛ァ」針を刺されるような痛みと共に彼の腕に巻き付いた。その瞬間「認証、バルバトス権限移行」という声を聞いた気がした。(なんだ、どうすれば...)彼が慌てていると再び赤い閃光が走る。彼はとっさに右に跳ぶ。すると直前まで彼のいた地点を無数の槍が貫く。彼が振り向くと槍の向こうに全身から棘を生やし、六本の鋭い手足のある、ウニ、蚊、人間を融合させたような怪人がたっていた。怪人は腕を振り上げ、閃光と同時に槍を飛ばす。
その瞬間だった。「裂空」高く美しい声が響くと同時に目の前の空間が裂け、槍が弾き飛ばされる。「裂空」再び声が響く。次の刹那、空間ごと怪人が切り裂かれる。切り裂かれた怪人は崩れ落ちると同時に爆炎をあげた。爆炎が晴れると、月明かりの下、あの夢で見た少女が立っていた。少女の髪は淡い月光の元、金色に輝き、風になびく。少女は宵に輝く星の瞳で彼を見つめ、手にしている刀の切っ先を向けて問いかけた。「そなたも私と同じく
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