夏編

第1章:灼熱の誘惑、覚醒する快感

第11話 『夏の始まり、秘密の誘い』

 七月上旬。梅雨が明け、本格的な夏が始まった。うだるような日差しが照りつけるグラウンドで、西山和樹は、今日で最後のバレー部の練習に汗を流していた。三年生は夏のインターハイ予選をもって引退となる。三年間の部活動に終止符を打ち、いよいよ受験勉強へと本格的にシフトする時が来た。心地よい疲労感とともに、和樹の胸には一抹の寂しさと、そして未知なる未来への期待が入り混じっていた。


 部活動を引退してからは、和樹の放課後の時間は、がらりと変わった。体育館や部室に向かう代わりに、図書室や空き教室で自習する時間が増えた。しかし、彼の「マッサージ師」としての役割は、部活引退後も変わらず、むしろ女子たちの間でさらに評判となっていた。春編で個別マッサージを経験した佐々木梓や小林遥、そして体育祭や球技大会で和樹の「癒やしの手」を体験した高橋梨花、山本結衣、伊藤楓といった女子たちは、受験のストレスや夏の暑さによる疲労から、より深いリラクゼーションを求めるようになっていた。


 その日の放課後、和樹が図書室で参考書を広げていると、隣の席に佐々木梓が静かに座った。彼女も書道部の練習を終えてきたのだろう、集中していた和樹の隣に座っても、その存在に気づかなかった。普段から落ち着いた梓だが、その日の彼女からは、どこか熱のこもった疲労が感じられた。

 「西山君、集中してるのにごめんね。少し、肩を貸してもらえないかな?」

 梓の遠慮がちな声に、和樹は顔を上げた。彼女の顔には、疲労の色が濃く出ていた。

 「ああ、もちろん。もう、肩がガチガチになってるんじゃないか?」

 和樹が優しく声をかけると、梓は小さく笑った。

 「ふふ、よく分かってるね。最近、書道の練習も追い込みで、気が張ってるせいか、全身が重くて……」

 和樹は図書室の片隅、他の生徒から見えにくい書架の陰に場所を移した。和樹が梓の背後に回り込み、制服のブラウスの上から肩に手を置く。

 「うん、かなり凝ってるな。体も心も、いっぱいいっぱいなんだろ?」

 和樹の言葉に、梓は大きく頷いた。

 「そうなの。なんだか、制服の上からだと、物足りない気がするんだけど……」

 梓はそう言って、和樹の顔を不安そうに見上げた。彼女の瞳は、和樹の奥底を探るように、真剣な光を宿している。和樹は彼女の言葉の意図を瞬時に理解した。それは、春編で遥がブラウスを脱いだ時とは違う、もっと深い、しかし明確な「欲求」の示唆だった。

 和樹は静かに頷き、梓の手を取った。

 「わかった。無理はしなくていい。でも、もっと楽になりたいなら、その方が効果的だと思う」

 和樹の言葉に、梓の表情に安堵の色が広がった。

 「ありがとう、和樹君。やっぱり、和樹君は信頼できる」

 梓はそう言うと、ゆっくりと制服のブレザーとブラウスのボタンを外し始めた。するりとブレザーが脱がされ、続いてブラウスのボタンが一つ、また一つと外されていく。和樹の目の前には、白くシンプルなノンワイヤーブラジャーに包まれた、梓の豊かな胸と、なめらかな肌が露わになった。ブラジャーは彼女のバストを優しく包み込み、その丸みを美しく強調している。梓の肌からは、普段よりも甘く、そしてどこか火照ったような体臭が漂ってきた。和樹は、思わず息を呑んだ。


 和樹は、緊張した手つきで、直接梓の肌に触れるマッサージを始めた。肩から背中、そして腰へと、指の腹でゆっくりと圧をかけ、リンパの流れを意識するように撫で下ろしていく。梓の肌はきめ細かく、ほんのりと温かい。

 「んっ……」

 梓の口から、微かな甘い吐息が漏れた。和樹の指先が、彼女の身体の敏感な部分を探り当てると、梓の身体がビクリと小さく震える。和樹は、ブラジャーのサイドベルトから続く肋骨のラインを辿り、乳房の基部に触れた。

 「梓、バストのあたり、張ってる気がするけど……」

 和樹が問いかけると、梓は少し戸惑いながらも答えた。

 「うん……最近、少し張りが気になるの。受験のストレスかな……」

 和樹は、乳房の基部からリンパの流れに沿って、優しく丁寧なメンテナンスマッサージを施した。優しく円を描くように指を滑らせると、梓の身体が小さく身悶え、より深い吐息を漏らした。それは、単なるリラクゼーションを超えた、快感の予兆だった。

 「はぁ……和樹君……そこ……すごく、気持ちいい……」

 梓の声は、微かに震え、うっとりとした表情で、瞳は潤んでいた。彼女の頬は、ほんのりとピンク色に染まっている。和樹は、彼女の股関節付近に手を滑らせ、鼠径部のリンパ節を優しく刺激するマッサージを始めた。足のむくみや冷えに効果的だと、以前調べた知識を思い出したからだ。

 「あっ……そこは……!」

 梓の身体が、大きく跳ねた。彼女の口から、これまで聞いたことのない、甘い喘ぎ声が漏れる。鼠径部への刺激が、彼女の身体に直接的な快感を与えているのが、和樹の指先からも鮮明に伝わってきた。梓の身体は、熱を帯びて、和樹の指に吸い付くように反応する。

 「和樹君……もっと……そこ……」

 梓の声は、理性を失いそうなくらい甘く、和樹の理性もまた、その声に揺さぶられた。彼女の身体が、快感に身をよじる。和樹は、彼女の肌から漂う、興奮した体臭が、彼の五感を支配していくのを感じた。


 マッサージを終えた後も、梓の顔にはまだ名残のような恍惚とした表情が残っていた。

 「和樹君、本当にありがとう。こんなに、こんなに気持ちいいなんて……。もう、和樹君じゃなきゃ、ダメかも」

 梓は潤んだ瞳で和樹を見上げ、その言葉は、和樹の胸に深く突き刺さった。それは、単なる感謝以上の、和樹への深い依存と、性的な興味が混じり合った言葉だった。和樹は、彼女たちの身体を癒やすという行為が、同時に性的快感を与えるという、複雑な関係性に、深く足を踏み入れていることを自覚した。

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