一人居ない
私達は、明日帰ることになった。3泊4日のはずだったけど、危ないからということのようだ。
夜、刑事さんが言った。
「えー、誰かが襲ってくるかもしれないので、しっかり戸締まりするように!」
訴えかけようとしない声。
怖い。
隣りにいた千秋が呟いた。
「大丈夫ですよ。犯人の目標はもう終わりました。」
え?
聞き返そうとしたけれど、千秋はいつも通り、狐みたいな細長い切れ目をしていた。
「あと、伝言があります。」
何だろうか。こんなときに。
「『死なないでください。』だそうだ。」
・・・・。なんで?
部長と2人で、部屋に入る。
同じ建物にいる人同士――会ったこともない人だけど心配になる。
一人居ない。
これがなんて怖いことなのか。
私は初めて知った。
二人で何も言わずに本を読んでいた。
「コンコン。」
ビクッとした。誰?
まさか、殺人者?
そっーと、ドアを開けてみる。
怖い怖い怖い怖い。
脱力した。
千秋だったのだ。
「ごめん、話したいことがあって。」
私達は頷いて、彼女の言葉が来るのをずっと待っていた。
「全部、わかった。」
少し微笑んで、出ていってしまった。
追いかけようとしたけど、部長に止められた。
部長が囁く。
「止めといたほうが良いよ。」
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