誰?

夕食の時間になって、またエレベーターに乗って、その場所まで来た。

廊下(広場?)アタフタしている男性が3人。

「どうかしましたか?」

私達が通れないから、早くどけ。

…少し難しい皮肉だったかも⋯。

男性の1人が言う。

「ああ、お嬢さん方、先程、肩ぐらいまでの長い髪で、背は低い方で、14歳ほどの少女を見ませんでしたか?」

そんな人、見たこともない。

「見てませんが、どうしました?」

2人目の男性がちょっと困ったように、

「いや、実は――」

居ないんですよ。

は?小説じゃああるまいし、そんなことやってるんだったら、その子の部屋を見に行ったらどう?

3人目が言う。

「しっかし、あなたがたが最後なんですよ。しっかたない、私が見に行きますので、2人はお嬢様が来るのを待っててくれるか?」

3人目はスタコラサッサと走っていった。

耳元で部長が囁く。

「どうやら、あの3人とあの女の子、只者じゃないようね⋯。」

私も囁く。

「そのようですね。ましてや、ちょっと遅いだけであんなに騒がしくなるなんて⋯。どっかのご令嬢とかのお嬢様じゃない?来るらしいって言ってたけど。」

「そーんな、庶民に関係ない人が来るなんて知ってたんですか?」

「あら、言ってなかったけ?」

「言ってませ――「うわああああああああああああああああ!!!」

私の声を遮り、つんざく様な悲鳴と叫びが聞こえた。3階だ。

「3人目の人の声じゃない?」

部長が呟くから。

「行ってみようか⋯。」

「怖い…。」

そんな声があちこちに聞こえる。

真田さんや、部長、ゲーム部部長さん、占い同好会部長さんが集まってきた。

「みんなで行ってみようよ⋯。」

なんでよ⋯。

行こうと思ったら、3人目が慌ただしく階段を降りてきている。電話を持っているということは、誰かを呼んでいるらしい。

「はい⋯、はい…。あ、もうすぐ来てくれるんですね。良かったです。はい、救急車⋯」

「事件でも起こったのかしら。」

占い同好会部長さんが心配そうに言う。

電話を切った後、野次馬以外に私達子供や、もっと小さい子が母、父を追いかけ行こうとしている。

それを見かねたのか、3人目は、

「ちょっと、子供や子供の保護者は行っちゃだめですよ!」

もちろんメガホンで、叫ぶ。

「とりあえず、大人だと思われればいいってことだな。」

祐一が呟く。

なんで、あんたはそんなことしか考えないのよ!

「そうですね。背が高い人となると⋯。」

そのうち、私、千秋、部長、修くん、ルリ、瑞稀、祐一。

「あー、うちは⋯行かない。」

これは環。私達の中ではわりかた背は低い方だから、行かないほうが良いか⋯。あとは大丈夫、か⋯。

「んじゃ、行ってくるね。」

ルリが言い出した。

結局私達も行くのか⋯。

エレベーターに乗り込む。

千秋が呟く。

「どうして、あの黒服の男性は、エレベーターではなく、階段で行ったんでしょうか⋯。」

え?

「エレベーターの人に出くわせないため⋯、それに⋯」

え?何?何?

「2人は、あの黒服の男性になんと言われました?」

「『あなたがたが最後なんですよ』って⋯」

「何故、最後か判ったと思います?」

え?それは⋯。

「今は、答える気じゃないです。」

そう、独り言のように呟くと同時に、チン♫という軽やかな音と共にエレベーターが開いた。


私にはそれが、


死の鈴の音に聞こえた。

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